プールへ行こう! (7) 〜 ゴーグル選び 〜 2010.05.31 |
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■ ゴーグルの掛け方
1. 先にレンズ部分を目に当てて、 2. 後頭部に向けて少し斜め上気味にゴムを引っ張って、かける。
初心者は、先にゴムを後頭部に引っ掛けてから、レンズを目の所に持ってくる人が多いが、これだとゴーグルの微調整がやり難いだけでなく、 (人間の目の位置は固定なので、掛ける位置を目に固定してからゴムの位置を調整する方が効率が良い) レンズを掴んでいる指が滑った時、バチーンと目にレンズがぶつかって痛い思いを、いずれする。
その点、先にレンズを目に当てる方式なら、掛けやすく、安全。
また、耳から後ろへゴムが下がって掛けているのは、No Goodだ。
かっこ悪いだけでなく、水流でゴーグルがズレてしまい、水が入りやすい。 水泳ゴーグルのゴムは、"普通の眼鏡のツル"ではないので、後頭部の一番出っ張っている辺りに掛ける。 (ゴムは斜め上に一直線。耳に、ゴーグルのゴムは当たらない)
しかし、まぁ、ゴーグルをどう掛けようと、大きな問題ではないので、神経質に気にするような事ではない。
■ ゴーグルの種類 ゴーグルは、『目のフチに当たる部分にゴムがある/なし』で、大きく2種類ある。
初心者は、パッドありを選ぶ人が多いが、競泳選手である私からすれば、パッドなしがお勧めだ。
『パッドなしは、目がグィーっとなって、目玉が飛び出る感じがして、痛い気がする』 かもしれないが、慣れてしまうとそんな事はまったく感じない。
パッドなしの方が、ゴムがない分、手入れもしやすく、長持ちするし、(競泳選手のセンスからすると、)かっこいい。
また、パッドがあるとその分の厚みで、ゴーグルが前に飛び出しているため、飛び込んだ時など、そこに水が引っかかって、ゴーグルが外れやすい。 とは言っても、多くのスポーツクラブでは飛び込みは禁止されているし、初心者が頭から飛び込む事はあまりないので、ゴーグルの外れやすさは気にする必要はなく、好みで選んで良い。
ただ、流行という事で言えば、レンズ部分が大きい、このタイプのゴーグルが昔は一般的だったが、 (レンズの大きさ以外の特徴としては、ゴムの長さを調整する場所が、『後頭部の1ヶ所』ではなく、『目の横の両サイド2ヶ所』に付いている)
1985年にビオンディ ゴーグルが登場して以来、ゴーグルのレンズ部分は小さいのが流行りだ(ビオンディ ゴーグルについては、第5章参照)。 普通の眼鏡と同様に、レンズ部分が大きいと、顔に占めるレンズの割合が大きくなって『いかにも』という感じになるが、小さいレンズなら、よりシャープな印象になる。
また、この古いタイプのゴーグルは、"見た目"的な流行だけではない小さな欠点があって、 『交換用のゴムが売っていないので、ゴムが切れたら、ゴーグル全部を買わないといけない』 という欠点がある。 (ま、『ゴムが切れたら買い替え時』ともいえるが)
その点、最初に挙げたレンズ部分の小さいタイプのゴーグルには、交換用のカラフルなゴムが多数販売されていて(300円〜500円程度)、どのメーカーのものでもおおよそ共通して使え、ゴムの色を変えて気分転換も出来る。
もちろん、好みの問題であるので、どのタイプのゴーグルをかけても、おかしいという事はまったくなく、神経質になる必要はない。
■ ゴーグルのサイズ ゴーグルは男女兼用、フリーサイズなので、好みで買えばよい。
ゴムの長さを調整する時には、どういう仕掛けでゴムが固定されているのかをよく見てから、分解する(調整する)事が大切だ。
『買ってきたゴーグルを箱から出して、ゴムの長さを調整しようと分解したら、どうやってゴムを固定するのか分からなくなった。』 という事は、よくある。
■ ゴーグルのメーカー ゴーグルのブランドは、アリーナ、続いて、ミズノ、スピード辺りで、さらにSWANS、その他という感じだ。
ただ、ゴーグル売り場で、少し形が変わったこんなゴーグルを目にするかもしれない。
これは、『VIEW』という日本の比較的新しいブランドなのだが、日本の競泳選手の間では、それなりに高いシェアを持っている。 (トップ選手の場合、メーカーとの契約があって、このタイプをかけていない選手も多いが、そういった一部の契約選手以外は、このゴーグルを使う選手は多い)
理由は、『堀の浅い日本人のノペーっとした顔に、フィットする』ためだ。 ゴーグルの『涙目みたいな部分』のおかげで、 ・眉毛 が平らになるため、ゴーグルの出っ張り部分に水が引っかかる事もなく、抵抗が少ないという理由で、日本人の競泳選手には向いている。
普段の泳ぎの中では、ゴーグルの抵抗はそれほど感じないのだが、ターンで壁を蹴った時のように、泳速が速い時には明らかに違いがあって、スタートで飛び込んだ時もゴーグルが外れ難い。
ただ、個人的な感想ではあるが、目の部分への"当たり"が少し強くて掛け心地が悪く、前方へのレンズの出っ張りがないせいで、ゴーグルを外し難いので(そのおかげで抵抗にならないため、レースでは良い事なのだが)、練習用には使い難く、私は、レースではこのゴーグルをつけているが、練習は別のタイプを使っている。
■ 視力の低い人 視力の低い人用に、度付きゴーグルも売っている。
ただ、度付きのゴーグルの場合、古くなってくると見え難いし、ゴーグルを外してしまうと見えないので、私も使った事はあるが、今は使っていない。 (ゴーグルは結構、傷が付きやすい) 使い捨てタイプのコンタクトを入れて、その上に普通のゴーグルをする方が個人的には好きだ。
■ ゴーグルが先?キャップが先? ゴーグルを掛けてから、その上にキャップをかぶるか? それとも、キャップをかぶって、ゴーグルをかけるか?
そんな事は、どちらでも良いのだが、 キャップをかぶってから、ゴーグルをする人の方が多い。 ただ、私は逆で、ゴーグルをしてから、その上にキャップをかぶる。
競泳選手がレースをする時は、私と同じで、『ゴーグルのゴムの抵抗』や、『ゴーグルの外れ難さ』といった面から、ほとんどの選手は、キャップの下にゴーグルをつける。 しかし、不思議なのだが、練習中は、キャップの上にゴーグルを付ける人が多い。
ゴーグルとキャップを、レースの時と逆にして練習中につけていると、レースが終わった時、思わず練習中の要領で、ゴーグルを外そうとしてしまってうまく外れない。 そのため、私は、レースを優先し、練習中もキャップの下にゴーグルをつけている。
しかし、初心者は、レースの事を気にする必要はないため、どちらでも良い。
■ くもり止め ゴーグルを使用していて、曇ってきたからといって、ゴーグルの内側を指で拭いてはいけない。
指で触った部分に油が付いて、余計に曇るようになる。 (曇るという現象は、水滴がレンズ表面に細かく結露している状態の事で、光が乱反射して見えなくなるという現象だ。指の油がゴーグルに付くと、その部分が水を弾いてしまうので、曇ってしまう)
新品のゴーグルには、くもり止めが付いているが、その機能はすぐに落ちて、曇るようになる。 その場合、『くもり止め』が売っている。(もちろん、普通の眼鏡用でもかまわない)
くもり止め
ただ、選手は、練習用ゴーグルに、くもり止めは、普通、つけない。 どうせすぐ落ちてしまって、めんどくさいからだ。 (それに、このくもり止めは小さくて、すぐになくしてしまう。消しゴムやボールペンと同様に、まともに最後まで使い切った事がない)
選手の場合、くもり止めを塗る代わりに、ゴーグルの内側をベロベロ舐める。 テレビ中継などで、外国の選手もたまに、レース前にベロベロ舐めているのが見れる事もあるほど、競泳選手にとっては一般的な行為だが、唾にはくもり止め効果がある。
※※ 備考 ※※
くもり止めの原理は、石鹸などに入っている界面活性剤の疎水基の部分がレンズ表面に配列し、親水基の部分が空中側に向く事で、水蒸気がレンズ表面になじみ、水滴が出来ないため(結露しないため)、曇らない。 (『親水(しんすい)』とは、『水と親しい』という意味で、『疎水(そすい)』とは、『水を疎(うと)む』という意味で、つまり、油の事を指す)
ざっくり簡単に言えば、 『水面からは水蒸気が立ち上る事はあっても、水面が曇る事はない』 という原理。
このくもり止めの原理は、『水と油を混ぜると、分離する』事から分かるように、 『油は油同士が集まりやすく、水は水同士が集まりやすい』という性質を、利用したものだ。
つまり、『水と油を混ぜると、分離する』という現象を『分離という視点』から捉えず、 『油は油同士で集まりやすく、水は水同士が集まりやすい』という『集合という視点』で考え、製品化したから、 『くもり止めの液体を塗るだけで、分子が勝手に、都合良く配列する』わけだ。
簡単に言えば、水を弾いて水滴にしてしまうと曇ってしまうので、逆に水をノペ〜〜っとなじませれば曇らないという、『逆転の発想』的な原理。 (車のガラスに塗る撥水剤も、雨のように大きな水滴ならガラス面を転がり落ちるが、霧のような小さな水滴の場合は転がり落ちないため、ガラス一面に水滴が張って曇ってしまう。従って、雨の降らない車内に撥水剤を塗る事は、『曇りやすくなる』というデメリットしかないため、車内にはくもり止めを使う)
これらの仕掛けを、注意深く思考すると、その深さに気付く。 くもり止めは、単に曇らないようにするだけでなく、 レンズ表面にある油分すらも、レンズ表面にくもり止めの疎水基部分が配列するのに都合良く作用し、 (くもり止めを塗る時は、レンズ表面に多少の油分があるのは問題ないが、逆に水が付いていると、界面活性剤の配列を阻害してしまう。くもり止めは、プールに入る前に、塗ろう。) かつ、くもり止めを塗り込めば、レンズ表面の油分が、くもり止めの疎水基部分に取り込まれて、石鹸で洗うのと同じように、汚れが落ちる。 (石鹸の中に入っている界面活性剤は、疎水基部分で油分である汚れを捉え、親水基部分で、掴んだ汚れを水中に取り込み、排水する事で、汚れを洗い落す仕掛け。このように、水にも、油にも、両方に溶ける事を、化学的には『両親媒性』という。) 優秀な製品には、一石二鳥、三鳥の仕掛けがある。
化学って、おもしろいでしょ〜〜 (^.^) 『物事をどういう視点で捉えるか?』で、物の見方が変わって、結果も変わってくる事がよく分かり、 『化学を学ぶ事で(ひとつの事を突き詰めることで)、そこから哲学が得られ、人生に応用が効く』のが、よく分かるでしょう〜〜。 こういう話が面白いと思ったら、勝利を哲学した『泳道楽』も読んでぇ (^.^)
したがって、油だけでなく、レンズの傷や汚れも、水をノペ〜〜っとさせるに邪魔なので、古くなったゴーグルは、どうしても曇りやすい。
唾は、ベトーっとしているので、唾を付けるとレンズ表面に水の膜(唾の膜)が張っている状態になって、水蒸気がなじむために水滴になり難くく、唾液に混じっている酵素には、界面活性剤と同様に、親水性の部分と、疎水性の部分があって、界面活性剤と同じ効果を発揮する。
石鹸がくもり止めの代用品になるからといってゴーグルに塗ると、涙がボロボロ出てくるが、唾は目に入っても痛くないし、安全。
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