プールへ行こう! (5) 〜 水着選び 〜 2010.05.25 |
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■ タイプ別水着 水着には、大きく分けて、5つある。
【1】 レース用トップモデル 『専用の手袋をはめる』といった具合に、脱ぎ履きが異常に大変で、耐久性も異常に低いので、練習用にはまったく向かない。
【2】 競泳水着
レースにも、練習にも使える水着。 生地が比較的が伸びるので、脱ぎ履きはまあまあしやすく、何を買って良いか、まったく分からないのなら、男女とも、このタイプの水着が無難。 トップモデルの水着より1万円程度安く、型落ちした古いモデルならもっと安い。 レースには向かないが、少し厚めの生地で耐久性を持たせた練習用に使うタイプもある(初心者には、お勧め)。 練習用水着の場合、最新水着を追いかける方が少し変な感じで、型落ちの安くなった中から、好みのデザインを選ぶ方が、無難。
【3】 練習専用水着
安価で、耐塩素性が高く長持ちするため、競泳選手の多くが、練習で使用する。 男性用は形が独特なので、見分けやすいが、女性用でも生地がザラザラとしていて厚く、数千円と安価なので見分けが付く。
ただし、 『わざと水を多く吸って重くなるようした、生地の厚い強化トレーニング用タイプ』 の2種類があるので、普通タイプが良い。
スパッツタイプの水着より、脱ぎ履きもしやすく、動きやすく、水着が破れる心配をせずにプールサイドに座る事も出来て、着ていて楽。 競泳選手の私からすれば、これがお勧め。
【4】 女性用セパレート水着
上下が分かれた女性用の水着。 水中を歩いたり、アクアビクスのような水中運動用の水着で、泳ぐ事には向かない。
【5】 完全なレジャー用水着 男子のダボダボ水着や、女性用のビキニタイプの水着など。 海水浴で着るような水着は、フィットネスクラブのプールで着るのは、明らかに目立つ。
女性のビキニに関しては、男からするとありがたいが、目のやり場に困るといったような感じで、多少違和感がある。 ただ、本人が良ければ、ビキニでも問題はない。
しかし、男が海水浴で履くような、ポケットの付いたようなダボダボ水着は、これは明らかに良くない。 フィットネスクラブのプールは、海と違い、更衣室がプールのすぐ側にあるため、ダボダボ水着が、水を更衣室内までガッポリ運んでしまって、床がビショビショになってしまうからだ。
■ サイズ 水着のサイズは、1サイズ小さいくらいでちょうど良い。 『SとMどっちかな?』と迷った時には、Sを選ぶ。
水着は、洋服と違いダボダボしているのは、みすぼらしい。 生地が水を含んで、余った生地の部分がダラーんとするためだ。
また、水着は良く伸びるので、多少きつくても着れる上に、プールでは塩素の影響で、水着が劣化しやすく、すぐに伸びてくるため、その時にちょうど良くなるサイズを選ぶのが普通だ。
■ 水着は洗濯しない 水着は、洋服と違って、薄い生地にも関わらず伸縮性があり、ゴムが入っている。 洗濯機でグルグルやってしまうと、すぐに痛んでしまう。
使用後の水着は、手で水洗いし、陰干しして使う。
特に、競泳用の水着は、生地が薄くて弱いため、洗濯機や直射日光は厳禁だ。
ただ、セパレートタイプの水着のように、厚い生地で出来た水着なら、乾き難いといった事もあるだろうから、洗濯機で洗って天日干しでも良いかもしれないが、私は使った事がないので、分からない。
■ 競泳選手の流行 競泳選手の間でここ10年間くらい流行している練習用水着は、 『ダサかっこいい』 だ。 (『ダサかっこいい』という言葉自体は使われていない)
この形を見ても分かるように、見た目にシャープさがなく、かっこ悪い。
1990年前後頃までは、バブル景気の影響もあるだろうが、日本の競泳選手の間でも、
男子はVパン
といった具合に、ボディラインを強調するような水着を良しとする雰囲気があった。
私が現役高校生の頃は、 『Vパンで半ケツ(半分、お尻が出ている)』 が、かっこいいとされていてたが、今現在は、Vパンを履くだけで、ちょっと恥ずかしい。
スパッツ水着のように、体を生地で大きく覆う水着に慣れると、不思議なもので、Vパンを着ると、 『うっかり水着を着るのを忘れて、裸でプールに出てしまったような錯覚』 を感じるほど、恥ずかしさを感じるようになってしまった。 ※※ 備考 ※※ 昔は『競泳用水着』と言えば、このタイプの水着の事を指し、一般人から『もっこり水着』と馬鹿にされる風潮があったものだが、1990年代半ば頃から、スパッツ水着や全身水着といった複数の競泳用水着が登場した事で、昔ながらの『競泳用水着』とを区別する必要が出てきたために、自然発生的に『Vパン』と呼ばれるようになった。
競泳選手の間での現在の流行は、
『一般人からすると派手で、ダサイ水着の方が、練習用水着としては、かっこいい』
という雰囲気が、男女ともある。 (ただし、レース用の水着に関しては、『ダサい方が、かっこいい』という空気はない。)
この『ダサかっこいい』という空気が日本の競泳界に生まれた背景には、おそらく、マット・ビオンディの存在がある。 ビオンディが100M自由形で人類初となる49秒の壁を突破した時には、信じられないほど驚愕したものだが、そのビオンディの水着とゴーグルは異常にダサかった。
一番左がビオンディ (真ん中の選手の水着の横が細い事から分かるように、1980年代は、より小さい水着がかっこ良かった)
ビオンディが履く水着は、横幅がでかくて、当時としては、パンツのゴムが緩んだようなデカパンのように見えたし、 (洋服で言えば、ズボンを上の方まで上げて、ベルトでグーッと縛ったようなダサさ) ゴーグルはタコ糸で結んだだけで、まるで駄菓子屋で100円で売っているようなヘボゴーグルだった。
そのスタイルは、『王者としての、かっこ良さ』とは対極にあり、当時は妙な違和感があった。
このダサいゴーグルの事を、当時の日本競泳選手の間では、
『ビオンディ ゴーグル』
と呼んでいて(^.^)、日本ではなかなか手に入らない、希少価値の高いものだった。 ※※ 備考 ※※ 当時は、海外遠征に行った人たちが買ってきたものが、東京池袋の毎日スポーツでたまに売りに出されるくらいで、確か2500円くらいした。当時の日本製のゴーグルが1500円くらいだった事からすると、非常に高価。 もちろん、原価は安く、当時海外では確か4ドルくらいで売っていて、今現在は、ネットで1000円もしない。
『王者のスタイルは、かっこいい。王者のスタイルを真似したい』 という発想は、いつの時代も同じで、ビオンディの時代が長く続いた事で、徐々にビオンディスタイルが、日本で広まった。
この四角いパンツ(ボックスタイプ)、 が発売され、普及し始めたのは、ビオンディが活躍してから10年以上たった2000年代に入ってからだが、
『"泳ぎの速さ"でカッコを付ければ良く、それ以外は、ダサくて良い』 というスタイルが 『かっこいい』 (結局、かっこつけるわけだけど(^.^))
という空気が出来たのは、ビオンディの登場がきっかけだったと思う。
ただ、これも流行なので、いずれ流行が変わり、その時に今現在の写真を見ると、 『デカパン、ダセ〜〜。足も短く見えるし、いかにも平成って感じ。』 とか、言われるのは間違いなく、流行に合わせるのも一長一短だ。
また、スパッツタイプの水着は、
『太ももの締め付けが、練習では不快』
といったデメリットがあって、長時間の水中練習を毎日繰り返す選手には敬遠され、
『男女とも、レース用とは別に、太もも部分が露出したタイプの練習専用水着が、選手からは好まれる』
という一面もあり、単にファッションだけの問題ではなく、機能面の良さからも、選手たちに普及した面もある。
■ 女性用のセパレートタイプ水着
セパレートタイプの水着は、ボディラインが目立たないため、初心者の女性には好まれる。
水中を歩いたり、アクアビクスで踊ったりする女性には、このタイプの水着が多い。
生地が厚いので、寒がりの女性には、多少なりとも暖かく感じられる水着なのかもしれない。
しかし、泳ぐのには向いていない。 生地が厚く、動き難く、水を含んで重たくなって体が沈むため、泳げない人は、もっと泳げなくなる。
それなりに泳げる人なら影響は小さいが、泳げない人や、泳ぎが苦手な人が泳ぐ時に使うには、まったく向いていない。
道具の悪い面は、素人ほど、大きな悪影響を受ける。
といった具合に、道具に拘らなくても出来てしまうのは、上級者の方で、泳ぐのであれば、初心者は競泳用水着を使う方が、楽に泳げる。 楽に泳げる方が、楽しくて、長続きしやすいはずで、重くて辛くて、水泳を嫌いになってしまっては、元も子もない。
ただ、泳ぎにくいだけで、泳げないわけではないので、恥ずかしいなら、セパレートタイプの水着で良い。
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