キャッチ (4) 〜 スカーリング 〜
2011.04.10 |
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■ 邪魔になったスカーリングキャッチ カヤック泳法のように、入水した位置に体の方を近づけようとすると、スカーリングのような横の動きは、邪魔だ。 横に動かしている暇があったら、入水した肘の位置にさっさと体をスライドさせた方が速いに決まっている。
『回転効率』の問題だけではない。
手を横に動かしてスカーリング的な動きをすると、揚力(浮き上がる力)が発生して上半身が立ってしまう。
フラットに泳いで、水面を滑って、前に進もうとしているのに、 浮き上がる『上向きの力』が手の先っぽにかかると、その分、下半身が沈んでしまうため、 『スカーリング動作で発生する揚力』が、すごく邪魔になる。
この事は、第1章で指摘したマイケル・フェルプス選手の 『水平に入水してきた手の平から、小指を下にしながら腕を開いていき、そのまま引っ張ってストロークする』 というキャッチ動作を見ても分かるだろうし、 S字ストロークは廃れ、まっすぐ引っ張るストレートストロークに変わったという現実からも分かるはずだ。 ※ 備 ※ いずれ、現在のストレートストロークよりも効率の良いストロークが生み出されるのは間違いないが、古いS字ストロークのまま、何のアレンジもなく復権する事だけは、絶対にない。
平泳ぎの場合でも、呼吸のタイミング、キックの引き付けタイミングともに、昔よりかなり遅い。(上級者の平泳ぎを参照)
2008年北京五輪 北島康介選手
『呼吸のギリギリまでフラットな姿勢を保ち、呼吸の後は出来るだけ早くフラットな姿勢に戻る事で、水流を乱さず速く泳げる』 のに、手の掻き初めにスカーリングの動きなんか入れちゃって、うっかり揚力なんか発生させちゃうと、体が勝手に起き上がってきちゃって、呼吸のタイミングが早まってしまう。 スカーリング動作は、すごく邪魔だ。
未熟な私の場合だと、 『肩幅より若干広い位置に持ってきた肘で水を引っ掛けて、体をスライドさせるのはうまく出来るようになってきたんだけど、その前に、どうやってその位置まで、肘を開こうか? 呼吸の前に体が立って来ちゃって、スカーリングは邪魔なんだけど・・・・・どうやれば、体を浮き上がらせないまま、肘を横に開いていけるか?』 と、技術的にだいぶ悩んで、今でもまだ、少し迷っている。 (ビートたけしさんの『コマネチ!』ギャグみたいな要領で、肘で水面を撫で回すようにして開く事で、今の所、一応解決した。でも、まだちょっとだけ、しっくり来ない所もあるんだよね〜〜)
『おまえ、何言ってんだ?! スカーリングは基本中の基本だろーよ! 飛行機が飛ぶのは、揚力と〜〜〜』 と言いたくなるのは、伏し浮きが出来なくて、体が沈んじゃう人だけだ。
気球に、揚力発生装置は必要ない。推進力だけで十分だ。 気球や飛行船に、ヘリコプターのような羽を付けて揚力が付いちゃったら、空高くどんどん舞い上がって行くだけで、前には進めない。
ただし、この事を、スカーリングが下手な初心者が、『できない事の言い訳』に使ってはいけない。 初心者のように、水を雑にしか扱えない人は、スカーリング練習をした方が良いし、しなければならない。
スカーリング技術程度の微妙な水の感覚が掴めずにストロークしても、進まない。
『テクニックを持っているけど、必要ない所では、使わない事』と、 『テクニックを持ってないから、使えない事』は、まったく違う。
※ 備 ※ 平泳ぎの人は、上級者の平泳ぎも参照すると良い。 背泳ぎと、バタフライの人は、申し訳ない。俺の泳ぎがヘボ過ぎて、なんも言えねぇ〜。
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