キャッチ (3) 〜 新しい推進方式 〜
2008.07.07 |
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■ すっかり廃れた20世紀方式 『え?え!え? 小指を下にしてキャッチしちゃったらさ、スカーリングできないじゃん! どうすんのよ?』 と思っている人は、20世紀に現役時代を経験し、古い常識を刷り込まれた人たちだ。
現在の泳ぎに、キャッチはない!
説明の都合上、『水を引っ掛ける動作』の事をキャッチとは言うが、『20世紀的なキャッチ』とは、ニュアンスがまったく違う。
『スカーリングで進むキャッチ』は、もうないし! 伏し浮きテクニックがあるので、スカーリングで揚力を発生させる必要もないし! ハイエルボーすらもない。
クロールなら、 S字ストロークも廃れたし! 中心1軸ローリングも廃れたし! 『出来るだけ長ーく引っ張ってぇ〜〜フィニッシュ!』で加速する推進方式も、すべて廃れた。
平泳ぎでも、手を横にどけないと、呼吸が出来ないから開いているだけで、 スカーリングをしているわけじゃないし! キャッチした水を引っ張って、胸の下に抱き込んで加速したりはしない。 その方式は21世紀に入って廃れた。
現在のストロークでも、肘は水面の高い所に保たれたままストロークしているが、 肩甲骨を開いた姿勢からストロークが行われているため、肘を抜くようなストロークになる。 (長い時間、『前にならえ!』をやらされて、疲れて下がってきた腕を見れば分かるように、昔のハイエルボーストロークと比べると、肘が下がり気味)
■ 新しい推進方式 モーターボート泳法の時代は、ずっと昔に終わった。
推進ベクトルが斜め上に向いている事がムダで、 体が立って下半身が沈んだ分、抵抗が増える事がムダだから廃れた。
旧式のモーターボートイメージ泳法は、 『ボートの後ろにあるスクリューが発生させた推進力を使って、前に進む』 という発想の泳ぎだったが、その発想は、 『陸上では、車輪で走る車や電車が速いから、人間が走る時も、昔の漫画のように、足をグルグル渦巻き回転させればいい』 という発想と同じで、非現実過ぎた。
人間の手足は、スクリューのように高速回転はしないし、スクリューのような大きな推進力も生み出せない。
旧式の『引っ張ってきた水をフィニッシュ!で加速させる方式』に代わって、 『1990年代〜2000年代前半に自由形短距離で活躍したロシアのポポフ選手』のカヤック泳法のように、 『掴んだ水の位置に、体の方を移動させる方式』 が、現在、使われている。 (ポポフ選手本人が、『カヤックの要領で手を掻いて泳ぐ』と言っていた)
喧嘩の仲裁に入って腹を刺され、集中治療室行きになっても世界王者であり続け(1996年アトランタ五輪1ケ月後の事件)、 50Mを『Vパン水着』で21.64で泳いだのはポポフ選手一人だけで、2011年の現在でも、『水着に頼らない最速クロール』は、ポポフ選手のカヤック泳法で間違いないだろう。
(ポポフ選手一人だけ、スローピッチ)
カヤックを実際にやっている人に聞いたのだが、カヤックでは実際に、『パドルで押した水で進む』のではなく、『パドルの位置に、船の方を持っていく要領で漕ぐ』そうだ。
つまり、現在の推進方法は、『入水した手を支えにして、体の方を前にスライドさる推進方法』であり、『フィニッシュ!した勢い』で進んでいるわけではない。
昔の泳ぎが、スクリューと同じ発想で、押し出した後の勢いで加速しようとした間接推進方式であったのに対し、 新しい泳ぎは、支えにしている水の位置に(これをキャッチと呼んでいる)、体の方を寄せていく直接推進方式に進化したのだ。
人間の身の丈に合った泳ぎになっただけだから、『進化』と言えるかは微妙だけど・・・・・ モーターボート的な泳ぎから、水車式の蒸気船的な泳ぎへ移行したと言える。
水車式の船(外輪船)
『20世紀方式で、フィニッシュ!加速』しようとすると、水を引っ張っている間に力が体の各関節に吸収さてしまって水に直接伝わらず、効率が悪い。
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