ガンダム式 引継ぎスタート法 (2) 〜 引継ぎスタートで目指す方向 〜
2008.02.01 |
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リレーの引継ぎで一番大切なことは、 「短い"引き継ぎTIME"で、"コンスタント"に飛び出せる事」 である。
【リレーの引継ぎで目指す方向】 フラットレースのスタートと同じで、感覚的に優れた"引継ぎのうまい選手"はいる。 そういった少数の優れた選手は、細かい事は考えずに感覚だけで飛ぶタイミングを計って引き継いでいく事ができる。 しかし、多くの選手はそうはいかない。 感覚だけで動作イメージを作る事は非常に難しく、良いとされる基本動作を知る必要があるので、その基本となる動作を考えていく。 リレーにおける、「より良い引継ぎ」を考える場合 1. 思いっ切り勢いを付ける という2つの要素がある。 両方が最高になれば一番良いが、引継ぎが下手な選手が目指す方向は、まず、1つにする必要がある。つまり、 「1と2のどちらが、"より重要"で優先すべき事か?」 という事だ。 答えは「2」である。 「1」の勢いを付ける戦略は、 「手を回す」 「クラウチングスタートのように片足を引いた状態から前に出て、両足をそろえてて飛ぶ(半歩の助走をつける)」 「膝を深く屈曲させて思いっ切りジャンプするようにして飛び出す」 などが考えられる。 これらの「勢いを付ける効果」を時間にすると、せいぜい0.1秒程度である。入水後のスピードの分も考慮したとしても0.2秒程度であるはずだ。 「勢いを付けた事で稼いだ0.1秒」の重みは、弾道スタート理論の図3-1から分かるように、微妙なものだ。 しかも、勢いが増して入水速度が増せば、抵抗は速度の二乗倍で大きくなるので、速度が増した以上の入水テクニックが必要になる。 入水の下手な選手が、スタート台上でつけた勢いを、スタートのうまい選手のように最大限"生かす"事は難しい。 つまり、「勢いをつける」という"ひとつの事"を目指したつもりでも、その勢いを生かすためには、「勢い」と「入水テクニック」という"2つの要素"を同時に磨く必要に迫られる。 この0.1秒程度の勢いを付ける事に重点を置いた結果、異常に出遅れたり、フライングして失格をしてしまっては、元も子もない。 ところが、「2」の"引継ぎTIME"を最小限にする方の戦略では、フラットレースのリアクションタイム部分に相当するので、最低でも0.5秒、最大で0.7秒にもなる。 一人のたった0.7秒も、引継ぎ3人分ともなれば、2.1秒もの大差となる。接戦の200Mリレー決勝レースなら、トップとビリ、いや、トップと予選落ちくらいの大差だ。 (リアクションタイムの遅い女子選手などは、もっと大きな短縮効果を期待できる) 実際、国体の決勝レースですら、引き継ぎ時間で0.4秒程度かかる選手もかなりいる。 8コース決勝とすれば、リレーでは24人の選手が引継ぎを行う事になる。 0.2秒台前半で引き継げれば、24人中の上位10人に入る。0.1秒前後で引き継げば上位5人に入れる。 上位5人に自分のチーム全選手(3人)が入れば、そのチームは、引継ぎだけで、相当のアドバンテージを持つ事ができる。 つまり、多少の勢い不足でも、コンスタントに短い"引継ぎTIME"で飛び出していける選手は、実践レースで非常に有利なのだ。 "引継ぎTIME"が、ただ単に短いだけではなく 「コンスタント」 に短く引き継げる事が、重要なのだ。 「たまに早く引き継げる」 では、困るのだ。要するに、精度が悪くてはダメなのだ。 実践レースでは、予選があって、決勝もある。何らかの理由で、決勝だけ早く飛べても、予選で引継ぎが遅くて、予選落ちしてしまってはまったく意味がない。 また逆に、予選で早く飛べて決勝に進出しても、決勝で引継ぎが遅くて負けてしまっては、泳ぎでは負けていないだけに非常に悔しい。 つまり、リレーの引継ぎスタートにおいては 「思いっ切りスタート台を蹴り出す事」 よりも、まずは 「いかにして、短い時間で引き継いでいくか」 に集中して、引継ぎ技術を磨いていく必要があるという事だ。 「より大きな勢いを付けて、飛び出す事」 を考えるのは、「タイミング良く」かつ「精度高く」飛び出せるようになってから、考えればよい事なのだ。 次項からは、 「短い"引継ぎTIME"で、コンスタントに飛び出せるようになるためのテクニック」 を解説していく。
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