ガンダム式 引継ぎスタート法 (1) 〜 序 〜
2008.02.01 |
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リレーの引継ぎの基本は、 【1】 3M前の準備 泳いで来た選手が残り3M付近に来た時、選手全体をボールと捉えて、ボールをキャッチする感覚で、タッチ板にぶつかる瞬間を先読みする。
【2】 引継ぎ動作開始 向かって来る選手が十分近づいてきたら、タッチ動作に入った選手の手の動きに意識を合わせ、先読みして得たタイミングで前に倒れこみ始める。
【3】 タッチ完了待ち 向かって来た選手の手がタッチ板に触れるまで、倒れ込み続けて待つ。
【4】 蹴り出し タッチした瞬間に、スタート台を蹴り出す。
である。
【序】 競泳におけるリレーの引継ぎ技術を解説している本はまず見た事がない。 少なくとも私の歩んできた水泳環境では、引継ぎのテクニックは、「引継ぎがうまい」とされる人からの口伝えで、教わる事しか出来なかった。 しかも、リレーの引継ぎテクニックは、リレーメンバーにならない限り必要はないので、競泳の中でも最もおざなりにされているテクニックである。 私も「競泳」らしい泳ぎが出来るようになった高校生の時には、全国屈指の強豪校の水泳部に在籍していたため、リレーメンバーに入る事はほとんどなく、引継ぎ練習などした事はまったくと言っていいほどなかった。 多少は引継ぎ練習をした事はあったのだが、それは単に引継ぎの練習に時間を割いただけの事で、「引継ぎ技術」を練習したわけではなかった。 従って、リレーの引継ぎで必要な事は、 「フライングを取られない事」 くらいにしか考えておらず 「速く引き継ごう」 などとは考えもしなかった。 ところが、30歳になり、国体でエースメンバーとしてリレーの引き継ぎをする事になり、リレーにおける自分の役割、責任を初めて感じて引継ぎ練習をするようになった。 この時、 「リレーではフラットレースより0.7秒速く、どんなに遅くても0.5秒は速く泳げる」 という事実を初めて知った。 なぜなら、それまでの私のリレーの引継ぎは、泳いできた選手の手が壁に付いたのをはっきり見てから、「ヨイショ!」と引き継いでいたのでフラットレースと同じか、緊張感のない分、遅いくらいであったからだ。 ルール上は 「泳いできた選手のタッチと引き継ぐ選手の足の指がスタート台から離れる時の時間差が、-0.03秒までセーフ」 である。"引継ぎTIME"は、-0.03秒までセーフなのだ。 もちろん、「-0.03秒」というは、計測誤差を考慮に入れているだけであるので、0秒よりプラス側で引き継ぐ必要がある。 従って理想の0秒で引継ぐには 「引き継ぐ選手は、泳いできた選手のタッチ動作の前にスタート動作を始めて、泳いできた選手がタッチした瞬間に、スタート台から足の指が離れる」 状態となる。
図 1-1
つまり、フラットレースの場合の 「スタート音を聞いてから動き始めて、スタート台から足が離れるまでの時間(リアクションタイム)」 を、リレーでの引継ぎの場合には先にやってしまっているので、フラットレースのリアクションタイム分のおおよそ0.7秒速くゴールできるわけである。 いわば、リレーの引継ぎを経て泳いだタイムというのは、 「スタート台から足の指が離れた瞬間からタッチするまでのタイムを計っているのと同じ」 という事になる(実際には踏み切る時の勢いも、リレーの引継ぎスタートの方があるので、その分の0.1秒弱、フラットレースのタイムよりさらに速く泳げる)。 この理屈はすぐに理解できるのだが、 「では実際に、どうすれば引継ぎ時間を短く出来るのか?」 を教えてくれる人はなかなかいない。 引継ぎのうまい人も、かなりの部分を感覚で飛んでいるために、感覚を他人にはうまく説明できないからだ。 幸いにも、私は2001年宮城国体〜2007年秋田国体の7大会でリレーの引継ぎをしたおかげで、引継ぎはだいぶうまくなった。 とはいえ、まともに引き継げるようになったのは2006年辺りからで、年に1度の国体直前にしか引継ぎ練習をしなかったという事もあり、それまではあまりうまくなかった。 飛ぶタイミングが自分ではよく分からなかったので、後ろで控えている引継ぎのうまい自由形の選手に「ハイ!」と合図をしてもらって飛んだりしていた(^.^) 2006年あたりから感覚的に引き継ぐタイミングが分かるようになり、2007年に弾道スタート理論を思いついてから、やっと、 「リレーの引継ぎスタートも技術のひとつ」 として理論的に認識できるようになった。 「フラットレースのスタート」と「リレーの引継ぎスタート」には共通するテクニックもあるが、"リレーの引継ぎ"だからこそ使えるテクニックもある。 そこで、次項から競泳におけるリレーの引継ぎテクニックについて述べる。
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