スプーン泳法 (6) 〜 浮心支点の動作感覚 〜 高橋 大和 |
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■ 泳ぎの動作イメージ 第二章でも指摘したとおり、ストレートストロークといった『ストロークの軌跡』は、速さの原因ではない。
スプーン泳法(現代泳法)が速く泳げる原因は、 『浮心を支点にして動作する事で、水流がまっすぐ流れるから』 だ。
泳ぎの動作イメージ
この 『まっすぐ流れる水流の上を、ミゾオチ(浮心)で滑るようにして泳ぐイメージ』 は重要で、『水流の上を滑る感覚』が、結果的に『まっすぐな重心移動』を可能にする。
スプーン泳法で、 『スプーンにミゾオチを乗せたまま、手足を動作させる事に意識を集中して泳ぐ』 と、主張しているのはこのためだ。 ※※ 備考 ※※ 『頭から離れた位置にあって、神経があまり繊細ではない腰(重心)』を『まっすぐ動かす』 といってもなかなか難しい。
スプーン泳法では、『自分の脳みそで捉えた感覚』ではなく、『まっすぐ流れる水流』を『皮膚で感じる』事を利用して、『まっすぐな重心移動』を行っている点に、合理的な意味がある。
■ 実際の動作感覚 頭の中に描くイメージは、『複雑なイメージでは使いずらい』ため、『簡単なイメージを持つ必要がある』が、実際に感じる『水の感覚』は、もっと複雑だ。
泳ぎの動作感覚
【1】 水流が頭頂部にぶつかる 【2】 ほとんどの水流が胸の下へ流れる 【3】 ミゾオチを通り過ぎた水流がお腹をえぐるように押し上げながら流れる 【4】 ミゾオチからふくらはぎへの『力のアーチ』で水流をなでるように乗せる (『注意深く意識を向けると感じる感覚』であり、スピードを上げて泳いでいる最中に、こんな細かい感覚を捉えている暇はなく、普通はもっと漠然と感じて泳いでいる)
【1】の『頭頂部にぶつかる水』は、平泳ぎだと200Mのようなストローク長の長い時に感じて、50Mレースのような短い距離では、泳速も速く、ピッチも速いため、深く潜っている時間はないので感じない。 (『深く潜る』と言っても『手の平、1枚程度』で、昔のグライドとはまったく違う。昔のグライドのように、体全体がうねる動作はない)
ただ、練習で泳ぎを作っていく時には、泳速がレースよりもかなり遅いため、旧泳法のモーターボート泳法からすると、深い所を泳いでいる感覚がある。 『体全体がフラットに寝ている分だけ、頭が深い位置に来る』から、深い所を泳いでいる感じがするだけで、腰の位置に意識を向けると、モーターボート泳法よりも圧倒的に高く浮いている。 (そのせいだと思うのだが、『ヘッポココースロープで、オーバーフローのない古いプール』のような波の高いプールでは、新泳法は波に流されて非常に泳ぎ難く、私の場合、泳ぎがものすごく崩れる)
また、上に示した動作感覚の図で、 『腰から下が胴体から離れている。しかも、点線で書いてある』 のには意味がある。
実際の動作感覚が 『腰から下が、ミゾオチにぶら下がっている感じ』 だから、そう図示している。
ミゾオチから下の感覚
『体の中で一番分厚い胸』の部分に、ミゾオチから下が隠れる事で、前からぶつかってくる水の抵抗が最小限に抑えられ、 このような『下半身の浮き上がり現象』が起きるものと、私の感覚では分析している。
また、北島康介選手の『キックが蹴り出された後の一番最後の部分』で、下半身がフワーっと自然に押し上げられるシーンも、この『水流の押し上げ』を意味していると思われる。
2008年北京五輪 北島康介選手
写真では『蹴り上げているように見える』が、実際の動画で見ると、『プルで発生した泡』が下半身に伝わっていくのが見て取れ、下半身が水流に押し上げられているのが見て取れる。 また、北島康介選手と本当に同じかどうかはわからないが、私自身も泳ぎの中で『キック終盤の浮き上がり現象』を感じている。
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