腰痛 (7)

〜 運動動作 〜

2008.11.20

  

 

腰痛には「歩くのが良い」とか「自転車が良い」とか適当な情報がゴロゴロと蔓延している。

私は「腰痛対策には、歩くのが良い」と聞いて歩いたら、椎間板ヘルニアになった。もちろん、椎間板ヘルニアは複数の要因が重なってなったもので、歩いただけでなったわけではないが、歩きすぎたのも原因のひとつであると思っている。

少なくとも、正しいまっすぐな直立姿勢が作れないのに、腰に負担のかかる悪い姿勢で歩くのは絶対良くない。歩く前に、姿勢を正す訓練をする方が先だ。

腰痛が大きく改善した今でも、自転車に乗ったら腰が痛くなる。

よく聞く「良い」と言われる情報の多くが、「腰痛を持たない人」の情報だ。それが医者の言う事であったとしても、その医者は腰痛持ちでない事の方が多いように思われる。

「良いような気がするというイメージ」から「良い」と言っているだけで、根拠が怪しく、何が正しい情報なのか分からない。

腰痛を持たない人には良い事であっても、腰痛持ちになってしまった後では、良くない事も多々あるにもかかわらず、その点を考慮した情報はあまりないように思う。

そこで、腰痛患者である私の「腰痛センサー」で感じ取った良し悪しの情報を記載しておこうと思う。

・歩く、走る
・自転車
・泳ぐ

これらの良し悪しについて記載しておく。

 

●歩く、走る

「腰痛患者は歩け」なんて話を聞くが、椎間板ヘルニアの激痛期前後、私の腰の腰痛センサーが非常に過敏に反応していた時期に感じたのは、「歩くのは、良くない」。10分くらい歩くと腰に違和感が出た。

ところが、「小走り」では痛くならなかった

私は競泳のトレーニングのため、椎間板ヘルニアの激痛期を過ぎた直後から練習を再開した。

毎朝1時間、公園の芝の上を走っていたのだが、犬の散歩をさせているおばちゃんより遅いんじゃないかというほどにモタモタ走っていると腰が痛くならなかった。

ところが、そんな歩くのと変わらないスピードの小走りにも係わらず、小走りをやめて歩き始めると痛くなる。もちろん大股でスピードを出した走りも痛い。

なぜだか、小走りは痛くない。

想像するに、かかとにドスン、ドスンと体重が乗るのが良くないように思う。歩いている時には、自分で感じるほどドスンとかかとに体重は乗っていないが、小さな振動の積み重ねが腰に響いてくるものと思われる。

小走りは、つま先でチョコチョコと進み、体重がずっしり足に乗る前に反対の足が前に出るので、腰に負担が少ないのではないかと思われる。

これは、ランニングマシーンの上を走るとき、上り坂モードで走ると腰への負担が少ない事からも言えると思う。通常の坂道では、上れば下らなくてはならなくなるが、下りは坂でも階段でも腰に負担がかかる。ランニングマシーンは上りだけを行える点は良い。

また、小走りは左右の足を交互に出す時に、骨盤のひねりが小さくて済むようにも思う。

腰痛が大きく改善した今でも、同様の傾向だ。長く歩くと腰に響く感じが出る。

したがって、「腰痛持ちは、歩くと治る」がのごとく言われる情報は嘘ではないかと思う。腰痛持ちの筋力維持や減量には、小走りが良いと思う。上り坂ならもっと良いと思う。

 

●自転車

自転車も「ハムストリングは自転車でしか鍛えられない」と、嘘か真か疑わしい情報から「腰痛に良い」とかいう話を聞く事があるが、間違いなく腰に悪い。

前章で説明したように椅子に座る要領で漕ぐママチャリなら大丈夫だ

しかし、スポーツ車タイプは、腰痛が改善した今でも乗ると痛くなる。すぐには痛くならないのだが、毎日乗っていると、日に日に痛くなってくる。

原因は、スポーツ車の場合、前傾姿勢になってしまい、太ももと上半身の角度が90度未満になってしまい、前傾がきついまま太ももを踏み出すので、腰に負担がかかると思われる。

強く踏み出さず、ポタリング気分でゆっくり漕いでいたとしても、前傾姿勢自体が腰痛患者には良くない。

自転車の専門雑誌などでは、「腰痛はフォームから来ている」と自転車の乗る姿勢を解説しているが、腰痛持ちにとっては、フォームでカバーできる面は小さい。

スポーツ車はどうしても腰が丸まり、腰痛患者には危険だ。自転車競技をしているアスリートなら、好きな自転車競技を辞めるわけにもいかないだろうからフォームでカバーするしかないが、競技をしているわけではないのなら、ママチャリが良い。

少なくとも腰に違和感がある時には、スポーツ車タイプの自転車に乗るのは避けたほうが良い。腰痛が改善してから、腰と相談しつつ乗る程度にした方が良い。

少なくとも「腰痛に自転車が良い」というのは嘘だ。「ママチャリなら悪くはない」程度だ。

肥満から腰痛が来ているという人には、なんらかの方法で減量する必要があるので、ママチャリに乗って減量するというのなら腰痛改善にはなるはずだが、自転車に乗る事自体は腰痛改善に直接的には結びつかない。

ママチャリに乗る時にも、前章で説明したように骨盤を立てて乗らなくてはならない

 

●水泳

泳ぐ事は腰には良い。まったく泳げない人は良くないかもしれないが、私は椎間板ヘルニアの激痛期も、治る兆しが見えてきた後半の方は無理してスポーツジムに行ってプールで泳いだが、30分も泳ぐと腰の周りの筋肉の緊張が緩み、腰が楽になった。

水中では浮力があるため、腰に重さがまったくかからないから楽になるのだと考えられる。布団の上で寝ていても自分の体重で腰が圧迫され血流が滞るし、椎間板に遊びは出来ないが、水中ではフワフワとしているので、陸上よりも腰の血流が良くなり、椎間板に余裕が出来るのだと思われる。

お風呂でも同じような気もするが、お風呂は熱くて30分も浸かっていられないし、プールのように上半身全部が水中にまっすぐ沈める深さがなく、プールほどの良さはないと思う。また、フワフワした水の中で泳ぐ事で筋肉が緩みほぐれるので、お風呂よりプールで泳ぐ方が良い。

ただし、冷たい水の中でじっとしていると体温を奪われて逆に腰に力が入って痛くなるので、水温の低すぎるプールは良くないし、ある程度の水温があっても、じっとしているのは良くない。水中では程よく泳いでいる必要がある

ただ、私は競泳選手であり、泳ぐ事は歩く事よりも楽なので、泳ぐ量は一般の人には参考にならない。自分で調整してほしい。

また、腰の調子が良くない時には、浅いプールは良くないと思われる。胸まで浸かれる深さが必要だ。

これは、私が椎間板ヘルニアの激痛期〜その後1年程度に感じた事なのだが、腰くらいまでの深さのプールで泳ぐと腰が痛くなった。泳いでいる時には痛くないのだが、途中、壁際で休むほんの短い時間で腰が痛くなった。

おそらく、浮力で下半身が陸上よりも不安定な状態で、上半身を水上に出していると、腰の所にゆらゆらする支点がきてしまって、腰に力が入るなどして痛くなるのではないかと思われる。

深いプールにはよく赤い台が沈めてあるが、その赤い台に乗ったとしても胸まで沈む深さがある場所を選ぶか、身長より深い水深を確保できる所で休憩した方が良い。

腰痛が大きく改善した現在は、もちろん、浅くても深くても腰は痛くない。したがって、プールの深さは、腰の調子が悪い時だけ注意すれば良い。