腰痛 (8)

〜 腰痛履歴 〜

2008.11.20

  

 

腰痛から開放されたくて、ネットで情報を集めている時、その人の腰痛がどの程度なのか知りたくなる。

「腰痛が治ったってのは、俺より腰痛のレベルが軽いからじゃないか?自分と比べて、どの程度の腰痛レベルなのか?」

と考えるからだ。そこで、私の腰痛履歴を記載しておく。

腰痛は中学生の頃からで、中学2年生の頃から針治療にいくようになった。ただ、今から思えば、その腰痛の程度はまだ軽かったように思う。

腰が本当にやばくなり始めたきっかけは、高校の水泳部でバーベルを持ったスクワットトレーニング中にぎっくり腰を起こした時からだったように思う。大学時代にも、何度かぎっくり腰をやった。

大学時代の腰痛で一番記憶に残っているのが、ボーリングをした後だ。腰の調子がおかしいと思っていたのだが、誘われたボーリングに行って、2ゲームほどした。その日の夜から激痛が始まり、しばらく歩けなくなった。

それ以来、「片側のスポーツ」は極力やらないようにしている。テニスやゴルフなどもそうだ。

筋力を維持する運動は、ジムでのウェイトトレーニングと水泳で十分こなせるので、左右の筋肉を均等に使わず、しかもヒネリが入るスポーツは明らかに腰に負担がかかるのでやらない。

普段から、「前傾したまま物を持ち上げない」とか「くしゃみに注意する」とかは、十分に配慮してきた。それでも、年に1回くらいはぎっくり腰といったような激痛を経験し続けてきた。

その時の対処は、ひたすら安静にして寝た。一般的に良く知られているように、膝の下に丸めた座布団などを入れて、腰とお尻がまっ平らになるようして寝て、腰が反らないようすれば腰が楽なので、激痛期はもちろんの事、結構普段からこの姿勢で寝る事が多かった。

 

図 8-1

 

昔はこの方法で私はよく寝ていたのだが、最近は、これまで説明してきたように、腰痛が大きく改善したので、整圧敷布団にまっすぐ寝ていて、この寝方はもう3年以上していない。

腰痛の治療法としては、西洋の病院はレントゲンを撮って「骨には異常がありません」と言ってシップを出すだけで、これといった治療はしてくれないので、針治療を主に受けていた

針治療は不思議なもので、先生との相性がある。プロ野球のチームドクターをやっている名医だのなんだのと、いろいろ行ったのだが、名医と言われる人ではぜんぜん良くならないのに、中学の時に行っていた田舎の針医者のおじいさんとは相性が良いようで、本当によく効いた。

が、最近は西洋の病院の電気治療も腰の鈍痛には効果があり、私の腰も3年以上ぎっくり腰を起していないこともあって、腰の調子がなんか悪いなぁという時には、ひどくなる前に電気治療を受けにいくようにしている。西洋病院の良い所は、保険治療で安い事だ。

ちなみに、これも良く知られている事だが、ぎっくり腰をやった直後のような激痛期には、患部は冷やした方が良い

関節痛を抱えているスポーツ選手ならよくやるのだが、キンキンに冷えた氷のバックを患部に当てて冷やす。捻挫と同じ対処法だ。シップも温シップではなく、冷シップが良い。

「なぜ冷やすのか?温めるんじゃないの?」

と思う人のために説明すると、ぎっくり腰や捻挫をやった直後は、痛めた場所が熱を持ち、その熱によって周辺の健康な組織まで巻き込んでしまって炎症の範囲を広めてしまう。健康な組織にまで炎症を広げないために冷やすのだ。冷やして、直接ダメージを受けている組織内に炎症を押さえ込むのだ。

これは、脳梗塞などで脳にダメージを受けた時に採る脳低体温療法と同じ手法だ。脳低体温療法は、日本大学で開発された手法で、脳にダメージを受けるとダメージを受けた部分の周辺組織が熱によって壊れていくので、体温を下げる事でこれを押さえ、これまで植物状態になっていったような人まで助かるようになった手法だ。

温めるのは、急性期を過ぎてからだ。ぎっくり腰なら、1週間ほど経って激痛から鈍痛に移行して、その後ゆっくりとしか回復しなくなってきてから温めると良いのだ。

普段、「腰の調子がなんか悪いな」程度の時は、温める方が良いし、シップも温シップが良い。

まー、よく知られている事なので、偉そうに説明する事もないのだが・・・。

また、腰をもんだり、引っ張ったりするのは絶対にダメだ。素人がもむと「もみ返し」が必ず来て、ぎっくり腰をやる。私の腰は、プロにしか触らせないし、自分でも押さないようにしている。ホンマもんのプロの整体師を見つけるのも結構難しいので、私は基本的に腰は誰にも触らせない。

そういった知識を駆使して、普通の人と比べれば腰を守る事には長年気を使ってきたのだが、30歳ころから年に1度〜2度はぎっくり腰をやるようになっていった。

そしてついに、第4−第5腰椎間の椎間板ヘルニアになってしまった。MRIを初めて撮ったのだが、飛び出した椎間板が神経を押している様子がばっちり映っていた。神経の束までもが映っている事に化学者的感動があって(化学者は、NMRというMRIと同じ原理の分析装置を使って物質の構造を決定する)、MRI画像を5000円で買って帰って、今でも持っている(^.^)

「この腰痛は、いつものぎっくり腰とは違う」と思ったからMRIを撮ったのだが、ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いは、

腰が完全に曲がってしまう。歩き方だけでなく、立った姿勢からして体が曲がってしまっていて障害者に見える。

ぎっくり腰は、激痛が始まったのはあの動作だというはっきりとした原因の動作があるのだが、椎間板ヘルニアは徐々に痛くなって、3ケ月ほどかけて激痛になっていった。

ぎっくり腰は1週間程度で激痛が引き、なんとか日常に戻れるが、椎間板ヘルニアは激痛期が3ケ月も続き、日常に戻るのに半年近くかかった。

といった点が私の場合、違っていた。

特に特徴的だったのが、鏡に正面から立って見た時に、背筋が椎間板が飛び出している方向と反対に完全に曲がってしまっていた事だ。

面白い事に、鏡を見て意識的にまっすぐしようとしても、まっすぐにはならない。体が意識を無視して防御反応を示して、飛び出して痛い場所を避けてしまうようで、激痛を我慢して無理やりまっすぐしようと思ってもまっすぐならない。

幸い私は「下半身の痺れ」はなく、腰が痛いだけだったのだが、気を付けていたにもかかわらず、激痛期にひどい風邪をひいてしまい、死にそうになった。

寝ている事も、寝返りを打つ事も、トイレに行く事も座る事も、何もかもが激痛なのに、咳き込んでしまうので、眠る事すら出来ない。

咳をすると激痛が走るので、咳を我慢するのだが、息を吸い込めば咳が出て激痛が走るので、咳がひどくなる夜は呼吸すら満足に出来なかった。

「見るからに障害者の見栄えだし、寝てばかりだし、俺は一生歩けないんじゃないか?」

と不安になるし、テレビを見ていれば

「あーあの人は歩けるんだよなぁ。俺もいつかあーやって普通に、また歩けるようになるのかなぁ」

と不安ばかりが募った。さんざんぎっくり腰を繰り返してきて腰痛には比較的慣れている私でも、あまりの事に治るような気がしないのだ。

しかも、おそらくひたすら寝ていたためだろうが、生まれて初めて回転性めまいまで起こし、小さな脳血栓でも起こしたのだろうが、左手の小指が1ケ月ほど動かなくなった。

それでも、腰が痛くて病院にも行けず、本気で生命の危険を感じた。いや、本当はMRIを撮った時とは別に一度だけ病院に行って激痛を訴えたのだが、「死にはしないから。数ヶ月たっても激痛なら手術するだけ」と帰らされた。

「帰れ」といわれても、診察台から降りる事すら出来ないのに、痛み止めの座薬を入れられ、帰らされた。しかも「医薬分業だから」と、薬を病院ではもらえず、薬局まで行かされた。

「薬局に行く」といったって、病院内では車椅子に乗っているんだから、5Mだって歩けやしない。そんな激痛を押して病院に行くメリットは何もなかったので、ひたすら寝て、我流で切り抜けた。

しかし、それも半年くらいでなんとか日常に戻れる程度まで回復した。

「一度飛び出した椎間板はへこまない」なんて事はなく、ネットの情報からしても、ほとんどの人は安静にしていれば自然と椎間板が元に戻る。完璧ではないにしろ、激痛から開放される程度には元に戻る。

腰が曲がってしまった姿を見た時の不安に反して、私も良くなり、腰は本当に大切だと感じた。膝は痛めても、びっこを引きながら歩けるし、眠る事も出来るし、ご飯も食える。

しかし、腰は食事も床で犬食いしかできないし、そもそも少しでも動くたびに激痛が走って、動けやしない。

「もう二度と、あんな目に合うのはごめんだ。死ぬまでもう二度と嫌だ」

と強く思ったので、これまでのやり方を変えようと思った。「腰を守ってダメなら、攻めてやれ」と半分投げやり的に思った。

ウェイトトレーニングで腰の筋肉を今まで以上に無理をして鍛えてもみたが、どう考えても腰が良くなっていく気配はない。

そこで、姿勢に目を向け、立ち姿勢や股関節の柔軟性の情報を入手し、試して、効果があった。

私よりひどい腰痛の人は私の情報とはそぐわないだろうが、ぎっくり腰を繰り返す人や、椎間板ヘルニアの激痛期を抜けた人は、私の腰痛対策経験は役に立つ事だろう。