重心移動ベクトル化運動理論 (8) 〜 パウエル選手に見る走法 〜 高橋大和 |
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ここまでの説明で、重心移動ベクトル化運動理論は理解できたと思うので、早速、パウエル選手とゲイ選手の走りを横から見た写真を見ていただきたい。 1. 着地
パウエル選手もゲイ選手も、重心移動ベクトル化運動理論が指し示す方向通りに、重心がまったくといって良いほど上下せず、一定の高さで走っている事が分かる。
手や足が前後する動きに目を奪われていると見えないだろうが、腰(重心)に着眼点を置いて「走る」動作を見れば、重心がまっすぐ移動しているだけである事が良く分かるだろう。
若干パウエル選手の重心の方が安定しているように思えるが、ここでは、そのような小さな違いよりも、世界記録付近で走るトップ選手はみな、重心が一定の高さで移動している事を読み取る方が重要だ。
着地位置での重心の高さが同じなだけでなく、空中に飛び出した状態ですら、重心は着地位置と同じで上下しないのだ。 (つまり、「腰(重心)がまっすぐ移動する」ように、足を蹴り出し、手を振っているのだ)
モモを上下させ、膝を曲げ伸ばししても、重心の位置は一定に保って走っているのだ。 もちろん、重心を一定の高さで移動させていくのが、一番の最短距離であり、一番効率が良い走りであるからだ。 重心の位置をプロットすれば分かると思うが、重心が等速直線移動しているのだ。
極端な例で見ると分かるのだが、小学生のような走るのが遅い人ほど、上下左右に重心が動いている(ブレている)。
「100M走は、等速直線運動の効率を競っている」と言えるのだ。
これは、100M走に限った事ではなく、マラソンであっても同様であるはずだ。 ストライドが大きい選手もピッチ走法の選手も、重心の上下が大きい選手が世界大会で上位に入賞している事はないはずだ。 世界大会で入賞するような選手は、ストライド長が違っていたり、ピョンピョン跳ねているように見えても、重心の位置だけは一定の高さで移動させている事でエネルギーロスを押さえ、42kmを走りぬけているはずだ。
「スポーツでは、重心移動に視点を置いてフォームを組み立て、重心移動効率を競っている。 筋力トレーニングは、移動効率が同じレベルの選手に勝つために、出力を上げるトレーニングをしている」 という事が分かったであろう。
私は競泳選手であるため、「走る」事を自分の内側から捉えた状況は正確には表現、分析できないため、走る事が専門競技の人たちが、重心移動ベクトル化運動理論を検証して欲しい。
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