ひと掻き ひと蹴り (6) 〜 ドルフィンキックの蹴り下ろし方 〜 2010.07.01 |
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■ 膝で蹴る 膝で打て!膝を蹴り下ろせ!
ヘタクソドルフィンキックを使う平泳ぎの選手は、水がどこに引っかかるのか、まったく分かっていない。 『水の感触』と言ったら、『膝を曲げた時のブレーキ感覚』だけで、前進に必要な水が引っかかる感触はどこにもなく、単にすっぽ抜けているだけだからだ。
そのせいでヘタクソは、 【1】 膝から下を曲げる といった間違ったイメージを持っているはずだ。
ドルフィンキックのイメージ (体の角度やプル動作は無視した、キックのイメージ図)
実際のドルフィンキックは、膝に意識があり、ストリームライン姿勢からいきなり膝を下に打ち込む感じで、うまくいく。 『膝を下に動かす(平泳ぎのキックのように、膝を引き付ける)』のではなく、『膝で水をドンと蹴る』感じだ。
膝から下に、意識を向ける必要はなく、『どうやって膝を曲げるのか?』という意識も必要ない。 『膝を下に、打ち込む』という意識だけで、後はそれに自然と追随する自分の体に従えばよい。
そもそも、膝が開いて足が付いている平泳ぎの選手の場合、足の甲は、外側に向いてしまっていて、水がすっぽ抜けて、足先にはほとんど何も感じないのだから、足先に意識を向けるのは無意味だ。
バタフライやバックの専門選手たちが、実際に、私と同じ意識を持ってダウンキックを開始しているのかは、よく分からないが、 『ドルフィンヘタクソ平泳ぎ選手』には、『20年間もヘタクソだった奴が上手くなった、私の意識』は、参考になるはずだ。
■ 推進の仕組み うまくキックが効いて来ないと、『どこで進んでいるのか?理屈が分からない』と思うが、膝から下(弁慶から足首付近)で、結果的に水を後ろに押す事で、膝から上の体全体が前に押し出されていく。
ヘタクソは、『蹴り下ろした後に発生する水流(勢い)で進む』とイメージしていると思うが、そういう古い加速方法は、現在、使われておらず、 かつ、ヘタクソには『膝下で水を押す』方が、シンプルに水を捉えやすく、実現可能なキックになる。 (本当は、うまくなってくると、押し出しでも進むし、押し出した後に足先で発生する水流の勢いでも加速する。しかし、それはもっと上手くなってきて自然に感じ取れば良く、意識して感じる必要ない)
この『後方に水を押し出すキック』のイメージは、自由形のキックを参考にするとイメージしやすい。 近年、自由形のキックの打ち込み方も変化し、膝で蹴っていて、その膝の動きが、ドルフィンキックの膝の動きをイメージさせやすい。
2008年北京五輪200M自由形 準決勝
1990年代以前の選手たちが見たら、 『初心者が溺れそうになっているキックに毛が生えた程度』 のキックにしか見えず、まさか、オリンピックの舞台で泳ぐ一流選手の水中映像とは思いにもよらないはずだが、これが今現在、最も使われているキックの蹴り方だ。
■ 上半身で水流を乱さない 『膝を下に打ち込むイメージ』で動作すると、腕や上半身が動かず、上半身が水流を乱さずに済むという利点もある。 膝を曲げる動作や、足を打ち込む動作でによって、上半身が水流を乱さないため、下半身のドルフィンキック動作で、体全体が前に、容易に押し出されていく。
ところが、ヘタクソが使う『膝を曲げて、膝下全体で(あるいは足先で)打つイメージ』でドルフィンキックを打つと、上半身までもがブレてしまう(上半身が上下にうねってしまう)。 上に示したイメージ図では、×の時も、意図的に上半身の動きを止めて描いているが、 実際は、×の場合、膝を曲げる時にエビ反り状に上半身がシナリ始め、手先から足先に向けて、上半身がうねるように上下動してしまう。 ※※ 備考 ※※ 先に紹介した、NHK特集の『ミラクルボディ』でも指摘されていたが、ドルフィンキックが非常に速いマイケル・フェルプス選手の上半身(手先、腕、頭、肩、胸)は、下半身の動きに影響される事なく、じっとしていて動かない。
これでは、体全体で水流を乱してしまい、抵抗が大きくなってしまう。 この『体の上下動によって起こる水流の乱れ(水の抵抗)』は、 『体全体が揺れることで乱れた水流に、体が吸い付いてしまって、体がその場に留まろうとして、前進できない』 とイメージすると良い。
この『吸い付く抵抗イメージ』は、実際の感覚を、私の頭の中で思考実験した予想ではあるのだが、おそらく、この考察は正しく、少なくとも、前進イメージとしては正しい。
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