平泳ぎ (23) 〜 ひとかき ひと蹴り 〜 高橋大和 |
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※※ 追加補足 ※※ ひと掻きひと蹴りのテクニックを、こちらで記事にしているので、是非見てください。ドルフィンキックがヘタでも、絶対速くなります。 ここは、北島選手の水中写真観察用として残しておきます。
ひとかきひと蹴りは私が一番苦手としている所だ。 スタートやターンのうまさは、運動のセンスに大きく依存している。 スタートやターンのうまい選手は基本的に器用な選手が多い。 私のような不器用な選手は、スタートターンは下手だ。
とはいえ、北島康介選手も2000年シドニー五輪の頃は、スタートターンでは遅れを取るくらいだったのだから、まったく成長しないわけでもない(ただし、北島康介選手は4種目ともそれなりに泳げるので、私からすれば明らかに器用な分類になるが)。 また、これは筑波大競泳OBの岡田禅さんからの指摘で判明した事なのだが、 「平泳ぎを専門とする選手よりも、自由形やバタフライの選手の方が、ひとかきひと蹴りは速い」 実際に、国体茨城代表の若者たちで平泳ぎのスタートから浮き上がりまでを競争させた所、決勝に楽に残れるレベルの平泳ぎ専門の選手がドベだった(国体の直前合宿中だったので、本人はかなりヘコんでました(^.^))。
つまり、ひとかきひと蹴りは、「平泳ぎのテクニック」というより、「自由形やバタフライのテクニック」に限りなく近いという事だ。 これは、平泳ぎは腰まで手を引っ張る動作をしないからだろう。 ひとかきひと蹴りのメインスピードは、平泳ぎの選手が得意な「キック」ではなく、 「スタート台や壁を蹴った勢いを殺さないテクニック」 がメインだからだ。
逆に言えば、「煽り足」や「腰まで引っ張るテクニック」が苦手だから、バタフライや自由形ではなく平泳ぎをやっているわけだ。 従って、ひとかきひと蹴りを速くするためには、自由形やバタフライの練習をするのが近道だ。 が、平泳ぎの選手は平泳ぎ以外はまったくダメという人が多いのだから、困った事だ。
私もスタート/ターンはほとんど成長していないので、これといったテクニックは分からない。 一般的に言われていることは、
「ドルフィンキックは、手の動作が始まる最初の段階に入れるのが一番速い」 「バタフライのプルでキーホールを使わなくなったのと同様に、ひとかきも肩幅からほぼまっすぐ腰に向けて引っ張る」 「手は出来るだけ体のそばを戻す」 「進行方向に対して水平に動く。遅い人は頭が下、足が上で正面からの水の抵抗を下半身の裏側で受けて失速してしまう」 「浮き上がりのひとかき目は重要。浮上の勢いで上下方向の動きが大きくなって泳ぎ始めてしまいリズムを崩すと、その後、泳ぎが立て直せなくなる。特に長水路の50Mでは、立て直すチャンスすらなくタッチまで浮き上がりのリズムで泳ぐ事になってしまう」
といった事くらいだ。 「ドルフィンキックは手の動作が始まる前に入れると失格だ」と、ドルフィンキック解禁の時には言われたが、実際にはかなりグレーなタイミングでドルフィンキックを入れた後に手を動かしている。 どこからが「一連の動作の中のドルフィンキック」と言えるのか微妙な所だ。
また、ドルフィンキックを最初に入れると言っても、ドルフィンキックが苦手な人はどこで入れてもあまり変わりがない。 (個人的には、器用な選手との差が広がるので、ドルフィンキックは禁止の方が良かった。) どこがどう良いかは私には詳しく見えないのだが、参考までに北島康介選手の写真を貼り付けておく。
北島選手は、ストリームライン姿勢がずば抜けて良いので、入水直後の失速が少なく、手前の100M銀メダリストのダーレ・オーエン選手よりも手のかき始めるタイミングを遅らせて、ストリームライン時間を長く確保できている事が分かる。 (しかも浮き上がった時には、北島選手の方が頭ひとつ前に出ている)
が、単に手をかき始めるタイミングを遅らせただけでは、泳速以下まで失速してしまい、出遅れてしまうだけなのだから、そう簡単には真似できない。 また、腰まで引っ張った時の姿勢を見ても分かるが、1980年代とは肩甲骨の使い方が違う。 肩甲骨を広げているので、腕が背中側ではなく、胸側にある。まさしくバタフライのプルテクニックと連動して、新しいかき方になっている。
ただ、スタート、ターン時のひとかきひと蹴りは、それ自体のうまいヘタよりも、ストリームライン姿勢がうまいかヘタかの差の方が大きい。
苦しくなってしまうと、私がターンの時に良くやってしまう、進行方向に対して斜めに体がなってしまうのは、大きな失速になるので、なんとしても直す必要がある。 この姿勢では、前からぶつかってくる水に体の背面が引っかかってしまい、失速する。
スタートにしろターンにしろ、壁を蹴った瞬間ほど速い泳速はないので、壁の蹴り出し速度を失速させる事は、大きな差となってしまう。 出来るだけ進行方向に一直線になるように体を保つ必要がある。 ひとかきひと蹴り自体のテクニックよりも、まずは、この姿勢の良し悪しから意識してみると良いだろう。
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