クイックターン (5)

〜 クイックターンのコツ 〜

2010.12.10

    

■ クイックターンのコツ

【ステップ 1】 2つ折り携帯電話のように体を折る

 

(頭の中に描く、訓練用極端なイメージ図)

 

膝を曲げる前に、『スネを目で見る』つもりで、先に上半身を一気に折ってしまう。

慣れるまでは、頭を水中深くに突っ込む感じがあるかもしれない。

 

『ターンは、回転』というイメージを持たずに、『ターンは、(上半身の)折り返し』というイメージを持つと良い。

 

 

【ステップ 2】 膝を壁の方に引く

 

 

壁に膝を寄せていくつもりで一気に引く。

(あるいは、『水面にある鉄棒』に膝裏を引っ掛けるような感じで引く)

 

この時、膝が水上に出ないように意識してかかとで引くと、うまく引ける。

(水上に膝を出す代わりに、お尻を水中に落せば、膝が水上に出る事はない。足裏やふくらはぎで、水面を叩こうとしたらダメ)

 

実際には鉄棒が存在していないため、『鉄棒の膝掛け回り』のように、膝を中心にして体が1回転する事はなく、代わりに、自然と壁側へ、膝ごと移動していく。

(膝裏で水を押す感じ)

 

 

以上で、クイックなクイックターン完了!

『クイックなクイックターン』に『回るイメージ』は必要ない。

 

 

 

■ ターンの観察ポイント

うまい人のターンを水の上から観察すると、

下半身が小さく丸まってスムーズに反転後、かかとからジュボっと入水し、

壁を蹴る時に『溜めの動作』を作る事なく、

下半身がまるで『ピロピロ笛が伸び出す』かのようにして、スムーズに壁を蹴り出していく。

膝をまっすぐ引いて来る勢いのそのまま、壁を蹴り出せるため、動作を止める事なく素早く壁を蹴り出していける)

 

うまい人は丸まった下半身伸び出て壁を蹴る

 

 

ターンのうまい人の回転軸が膝裏にあるのに対し、下手な人の場合は、お腹で回転軸を作り出しているため、

まるで鉄棒競技の『後方伸身ひねり宙返り』のように体が棒状になっていて回転速度が遅く、動きが硬い。

 

そして、足の裏側で水面を叩いて、水がバシャーンと大きく跳ねる。

(初心者には、一見すると、こちらの下手なターンの方が、派手でかっこ良く見えるかもしれない)

 

下半身が棒状で回転し、蹴る方向と力の向き合ってない

 

ただでさえ回転が遅い上に、膝が水上で大きく回転して来るため、

『上から下に加速しながら下りてくる膝を一旦止めて(水面をバシャーン!)、壁を蹴り出す体勢に立て直してから、あらためて壁を蹴りなおす

事になり、この『溜めの動作』でも壁際でモタモタする。

 

つまり、ターンのうまい人

【1】 上半身を折って、
【2】 膝を引いて、
【3】 蹴る

『1、2、3』の『速い3テンポ』で壁を蹴り出していくのに対し、

 

下手な人のターンでは、

【1】 上半身を回転させながら膝を折って、
【に〜〜】 膝(太もも)を水上に持ち上げてモッサリと回転し、
【さんー】 壁に足を付いて蹴り出す体勢を整えてから(バシャーン!)、
【4】 蹴る

といった具合に、『1、に〜〜、さんー、4』の『遅い4テンポ』で動作しているため、ターンが間延びして遅い。

 

 

 

これが第三章で示したレース映像の差であり、ターンで離されるだけでなく、格下の選手にまで追い付かれる原因となっているものだ。

深く理解した後にあらためて見ると、今まで見えなかったものまで、よーく見えるようになってるでしょ (^.^)

 

 

■ 背泳ぎで使うクイックターンと同じ

実は、今まで右右ターンでチンタラと回っていた人でも、背泳ぎのターンの時は、クイックに回転している(はずだ)。

 

そう、ゲインズスピンターンの回転部分は、そのまま、今現在使われている背泳ぎのターンで、あなた自身も背泳ぎの時には使っている。

(昔使われていた『壁に手を付くタイプの背泳ぎのターン』ではなく、今現在の背泳ぎで使っているクイックターン)

 

つまり、背泳ぎのクイックターンの感覚を、クロールのクイックターンにそのまま使えば、クイックなクイックターンになる。

(自分の体を注意深く観察しながら、背泳ぎのターンをやってみると良い)

 

 

『あれ?真上を向いたままじゃん。右左クロスターンにするにはどうするのよ!』

という心配はいらない。

 

『真上を向かない!』と思い込んでやるだけで、ちゃんと、右左クロスターンになる。

(自然な動きの中に姿勢が生まれる。無理やり姿勢を作っても、『姿勢を整える溜め動作』が長くなってターンが遅くなる)

 

クイックな回転を使うと、『右右ターン』は非常にやり難い。

クイックな回転で、クイックに壁を蹴ろうとすれば、『真上を向く』か、『右左クロス』でしか回れない。

 

『真上を向かない方法』を、文字でゴチャゴチャ書こうと思えば書けるが、無駄だ。

やった方が早いし、簡単だ。

 

 

ほら、もう、右右ターンはやり難いでしょ。

右左クロスターンの方が自然でしょ。

 

※※ 備考 ※※
『クイックターンの時の手はどうするんだ?』

なんて事は、理屈を考えながらでは出来ないから、少なくとも初心者に理屈は必要ない。

 

ただ、長水路50M自由形を23.7で泳ぐ田沢君に聞いてみた所、

『両手を、お尻まで掻いてから上半身を折るのか?』

『それとも、片方の手はお尻で、もう片方の手をストロークしながら上半身を折るのか?』

という部分には、テクニック差があるらしく、後者の方が技術的に高度であるそうだ。

 

しかし私は、自由形の中で一番多く出場している100Mでさえ、10レースもしていない『平泳ぎが専門の選手』であり、自由形のそこまで細かいテクニックを急いで追求する気はない。

 

『言われた言葉通りにただ真似して、ちょっとくらい速くなる』

だけでは、たいした効果は期待できず、

『他人の視点を参考にしながら自分で試行錯誤し、自分で思考する事で、別のテクニックや、まったく別の分野に応用できるようになる』

所が、私の長い説明で最も効果的な部分だ。
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