泳道楽 (14)

〜 成長戦略の見直し 〜

高橋大和
2010.01.30

  

 

■ 技術の時代変化

20代を過ぎる頃から、若手に追いつかれたり、追い抜かれていく大きな要因のひとつに、『技術面の時代変化』がある。

 

技術面は、おおよそ10年で進化し、30〜40年くらいで、それまでの理論がひっくり返るほどの大きな技術変化が起きる。

 

つまり、競技を続けて10年くらい経ってベテランの領域に入り始める頃、それまでのテクニックとは別の新しいテクニックを使い始める選手が出てくる。

場合によっては、『自分の競技生活』と『数十年に一度の大きな技術変化』が重なり、とても追いついていけそうにもないスピードで若手に追い越され、とても追いついていけそうにもないほどに、差を広げられてしまう場合もある。

 

ベテランには難しく感じる新しいテクニックも、若い新しい世代の選手は、最初に見たテクニックを真似るだけなので、特に苦労する事なく感覚的に取り入れて成長してくるにも関わらず、長年競技を続けてきた自分は、

『体に染み付いている動きが、なかなか抜けない』とか、

『過去の成功体験(動作感覚)を捨てて新しい事を取り入れるといったような、思想的な余裕がない』とか、

『技術的変化が徐々に浸透してくるだけに、変化に気付かない』

といったような事があって、うまく自分に取り込む事ができずに、次第に追い抜かれ、限界を感じ、引退を考えるようになる。

 

例えば、競泳の自由形であれば、1970年代から『クロールの絶対的な基本テクニック』として信じられ、徐々に進化しながら30年間も使われ続けた『中心一軸S字ストローク』も、21世紀に入って、ついに否定された。

 

トップ選手が自然と使うようになった、現在の新しい『I字ストローク』技術は、

『なぜ、どんな理由で、速いのか?』

が数年かけて理論付けされ、さらに一般的に認知、浸透するまでに、約10年かかった。

 

過去を振り返ってみれば、こうして、その変化が見えるが、変化の真っ最中にいる立場では、なかなか気付けない。

 

ただ、逆に言えば、『技術変化が起きる周期』を意識しながら周囲の動作テクニックを見るようにしたり、あるいは自分で新しいものを模索すれば、『精神的に成熟した強みを持つベテラン』に、年齢的な不都合は存在しなくなる。

 

※※ 備考 ※※
さすがに『現役選手』にはいなくなったが、2010年の現在でもまだ、『ハイエルボー式S字ストローク神話』を信じている人もいる。

S字ストロークは、泳ぎが達者な人の泳ぎ方を観察したところ、S字状にストロークしていた事から1969年に誕生し(参考文献)、その後、『クロールの一番重要な基本テクニック』として30年間も使われ続けた。

 

イアン・ソープ選手がS字ストロークを使わずに、まっすぐ掻いているにも関わらず、圧倒的な速さで泳いでいた事から、2000年辺りからストレートストローク(I字ストローク)の技術的な理論が言われ始め、2005年頃から一般の選手やコーチの間でも、S字ストロークが使われなくなり始め、ハイエルボーも使われなくなった。

(もちろん、イアン・ソープ本人はストレートストロークを編み出したつもりはない。実際、当初の数年間は、『彼はS字ストロークを使わないのに、なぜ速いのか分からない』と言われていた。ストレートストロークやI字ストロークという言葉も、彼がメジャーになった後の、引退間際頃に登場した言葉)

 

ただ、ストレートストロークの存在をメジャーにしたのはイアン・ソープ選手の活躍だったが、それよりも10年も前に活躍し、2008年に高速水着が登場して破られるまでの19年間、世界記録を保持したジャネット・エバンス選手もストレートストロークであった。

1988年当時、私は現役選手であり、よく覚えているが、

『体格にも恵まれていない選手が(身長163cm)、手をブン回して泳ぐ汚い泳ぎで(悪いフォームで)、なんであんなに飛び抜けて速いのか、まったく分からない。彼女は、持久力がすごいとか、なにかそういう技術面以外の理由で速いのだろう。彼女は特別で、彼女の泳ぎを真似したらダメだ。』

と言われていた。

 

 

しかし、今、彼女の泳ぎを見ると、確かにきれいな泳ぎではないが、

 

【キャッチ】
『入水後は、手(腕)を前方に伸ばした後、外側(横)に開いていく』

のが絶対常識の時代であったにも関わらず、エバンス選手は、入水後そのまま、まっすぐ引っ張り始めて、

 

【ストローク】
『キャッチの後、伸びた腕の、肘から先だけを折り曲げて掻き始め(ハイエルボー)、ヘソに向かって内側絞る「S字ストローク」』

が絶対常識の時代であったにも関わらず、エバンス選手は、入水後、肘から先を曲げるハイエルボー動作を行う事なく、まっすぐ後ろに引っ張るI字ストロークを使い、

(もちろん、当時は、『I字ストローク(ストレートストローク)』などというネーミングすらない)

 

【フィニッシュ】
『フィニッシュは、太ももの後ろまで、しっかりかいて強く押し出す』

のが絶対常識の時代であったにも関わらず、エバンス選手は、腰の所で手を抜くだけで、

 

【リカバリー】
『リカバリーは肘を曲げて、指先が出来るだけ体の近くを通るようにしてリカバリーを行う』

のが絶対常識の時代であったにも関わらず、エバンス選手は、手を伸ばしたままグルグル回転させる『ストレートアーム』であったりと、

(もちろん、当時は、『ストレートアーム』などというネーミングすらない)

 

ことごとく、当時の絶対常識(中心1軸ハイエルボー式S字ストローク)を無視した泳ぎ方をしていて、20年前にあれだけ『悪いフォーム』とされ、違和感があるように見えた泳ぎも、今見ると、技術的な違和感はまったくない、というよりも、まさしく今現在のテクニックそのものだ。

このように、イアン・ソープ選手よりも10年も早く、一般選手よりも20年も早く、次世代の泳ぎをやってのけており、そのために彼女の記録は20年間も破られなかったと言える。

 

(『天才のやる事を凡人が理解するには、何十年もかかる』という面もあるが、)このように、基本テクニックも30年くらいすると、180度ひっくり返るほどの技術転換が起きるが、現役生活中にそれに気付くのは、確かに、かなり大変な事だ。
※※※※※※※※

 

 

■ 体の変化

20歳を過ぎた辺りから感じる肉体の限界は、

『良い結果を出した時の過去の感覚と比べて、現在が劣ってきた感じがする』

といったようなものだろう。

 

しかし、その解釈は安易だ。

 

『感覚の違い』を、『劣ってきた』と捉えるか、『変化してきた』と捉えるかは、視点の持ち方の違いだ。

人間の体は常に変化しているのが当たり前であり、変化する状況に合わせて事を運ぶのは、選手がやるべき仕事のひとつだ。

 

ただ、一般的に、子供時代から20歳辺りまでは、『体の成長期』という同じ方向に向かっているが、20歳を過ぎると体(身長)の成長が止まって、変化の方向が変わり始めるために、大きな変化を感じるのも確かだ。

 

しかし、20歳辺りに感じる体の違和感は、『変化の速度(成長速度)』が変わったのではなく、『変化の方向(成長の方向)』が変わったと捉えるべきなのだ。

 

その変化の一面に、

『疲労が溜まりやすい体になり、怪我もしやすくなる』

という面があるだけで、選手としての劣化が始まったわけではない。

 

私の経験では、30代後半に入っても、

『自分のMAXの力を出した時の体の動きや感覚』

は、若い頃となんら差はない。

むしろ、『目指した大会でピンポイントに、確実な結果を出す技術』は、若い頃よりも圧倒的に高まっている。

 

私の周りにいる人たちの結果を見ても同様で、成長を続ける選手(ベストを更新し続ける選手)は多く、

『若い頃に、この記録を出していれば、オリンピックも夢ではなかったのに』

という30代、40代の選手は意外なほどに多い。

 

 

 

■ 20代以降の成長戦略

20代以降は、『疲労との付き合い方』が大切になってくる。

 

理由がよく分からないのだが、加齢に伴う変化で、『疲労が抜け難くなる』という現象が、確かにある。

疲労が抜けない事で、レースにピークがうまく合わなくなったり、日々のトレーニングが追い込めなくなったといった事が度重なる経験は、私もした。

 

しかしそれは、『体の成長期に使うべき成長戦略(若い頃の成長戦略)』をいつまでも使い続けるといった、『現実にそぐわない戦略』を使用している事から、成長できなくなっているだけだ。

 

『疲労が溜まりやすい体になり、強いては、怪我もしやすくなる』

という体の変化に合った、成長戦略を使えば、成長を続ける。

 

例えば、レース前の調整期間は疲労に合わせて延ばせば良いし、疲労によって日々のトレーニングが追い込めなくなったのなら、別のトレーニング方法を考えれば良いだけだ。

 

 

私の個人的なトレーニング経験であれば、若い頃は与えられた練習をこなすだけであったため、特別な理由もなく、

『メイン練習は、練習の最後』

にやっていた。

 

『プル/キック練習やドリル練習をして、メインのスイム練習をやって、最後に何本かダッシュをやって終わる』

といったような流れで、日々の練習をしていた。

 

『このような練習の流れに、どんな意味があるのか?どんな成長戦略があるのか?』

は、私は今でも知らない。

子供の頃から、競泳界ではどこへ行っても、この流れで練習が進められていたから採用していただけだが、少なくとも成長している時には、不都合のない練習の進め方ではある。

 

ところが、加齢に伴い、だんだん疲労が抜け難くなってくるせいで、

『練習の最後にあるメイン練習』

が、うまくこなせなくなってきた。

 

しかも、疲労した状態でのメイン練習を、日々積み上げていくせいで、

『練習時間の後半になってくるとそこそこの持久練習が出来るのに、練習時間の前半や、実際の一発レースでは速く泳げない』

といった状態になってしまった。

 

つまり、『体が疲労した状態の時の泳ぎ(沈んだ位置での泳ぎ)』がうまくなり、逆に、

『レースの時のトップスピードが出せる泳ぎ(体を高い位置に保った泳ぎ)』は、できなくなってしまった。

 

簡単に言えば、

『練習タイムからは手応えがあったのに、実際にレースをすると、ぜんぜん良い泳ぎが出来ない』

という事が度重なるようになった。

 

そこで、

『練習の泳ぎが速くなっても意味がない。レースの時にスピードが出せるような練習をしなければ意味がない』

と考え、レース当日と同じように、

『アップをやって、すぐにメイン練習を行い、その後に、プル/キック練習をやる』

ように練習の順序を変えたら、うまく行くようになった。

 

ところが、加齢によって、さらに疲労が抜けなくなってきてからは、

『重たい練習を日々繰り返して鍛え上げるような練習のやり方そのもの』

が、出来なくなってきた。

『1日や2日、練習を休んだくらいでは疲労が抜けず、どうしても体が動かない、気持ち的にもやる気が失せてくる』

という状態が、避けられなくなってきた。

 

そこで、もう一度、練習の方向を見直し、

『プル/キック練習は、余計な疲労を翌日にまで持ち越すだけだ。20年も競技を続けてきて、いまさら、プル/キック練習も、ドリル練習もない。メイン練習だけにして、トップスピードで泳ぐ時の感覚を良くしていく方向で、練習を考えるべきだ』

と判断し、(基本的には)メイン練習しかしないようになり、メイン練習のやり方自体も、『ハードトレーニング重視』から、『感覚重視』の練習に変えた。

 

つまり、『レース当日と同じように、軽いアップから、さっとトップスピードが出せるように。その時の、トップスピードで泳いだ感覚を磨こう』という方向で、練習を組み立てるようにした。

(全力で泳ぐダッシュ練習だけにしたわけではない。タイム的には遅くても、トップスピードで泳いだ時のイメージや感覚を意識した練習に切り替えた。むしろ、練習強度的には、相当下げた)

 

これらの考えのベースには、

『慢性疲労状態になったり、怪我をしてしまっては、練習云々、レースのパフォーマンス云々以前の問題が出てくる。まずは、疲労の蓄積や怪我を避けなくてはならない』

という方向の考え方があって、『疲労との付き合い方』に練習の視点を変えながら、

『ハードトレーニング成長方式』から『テクニック成長方式(感覚重視トレーニング)』

へ変えてきた。

 

これらは、私個人のやり方ではあるが、少なくとも

『やり方を変えれば、成長は可能』

であるのは、間違いない。

 

 

『ハードトレーニングをして強くなってきたのに、若さを失った上に、ハードトレーニングをしなくなったら、成長はしないんじゃないか?』

といった不安があるのは分かるが、その心配はいらない。

ハードトレーニングを続けなければ成長しないのなら、出産までをも経験し、子育てをしながら、40歳でオリンピック銀メダリストとなったダラ・トーレス選手の説明が付かない。

 

私の経験からすると、20代までのハードトレーニングで鍛えて出来た体が、自分の体の『体力的な限界値』となる。

つまり、20代以降は、それ以上いくら鍛えても、『体力』という意味では、強くなる事はない。

(もちろん、それまでに、『過ぎる』ほどに十分、体を鍛え上げている場合の話。例えば、『30歳から競技を始めた人』のように、出遅れている人は、体力的に向上する)

 

もう少し科学的にいうと、若い頃は鍛えれば鍛えるほど、例えば、血液の持久系の数値が上昇するが、いくらトレーニングを続けても、ある一定以上にはならない。

(例えば、人間の数値を超えて、別の生き物のようにはならない)

 

人間という限界値があるから、どうしてもそこで頭打ちになる。

(例えば、世界記録保持者と自分の血液を調べても、数値的には違いが見出せない。だから、みな、困っている。『血液の数値が異常に優れているから、持久力があって、世界記録が出せるんだ』という理屈が見出せなくて、『なんで、奴が速いのか?』分からない)

 

ところが、一度引退してみると分かるのだが、復帰後、意外にも簡単に元のレベルに戻れる。

自分が思っていた以上に、簡単にベストタイムに近い記録が出る。

(ただ、元に戻ったその後は、また別だ)

 

つまり、鍛えて成長させるのは大変なのだが、一度鍛えた状態には簡単に戻る。

 

逆に考えると、若いうちはハードトレーニングは非常に効果的だが、ベテランに入ってきたら、ハードトレーニングは不必要といえる。

 

『ベテランは、20代までの体力が維持できる程度のトレーニングで、十分だ』

という事だ。

 

『日々の疲労が抜け難くなって、ハードトレーニングが出来なくなったからといって、心配する必要はない。維持するだけならハードトレーニングはいらない』

という事だ。

 

もっと言えば、

『もうこれ以上は、体力的な成長はありえないのに、ハードトレーニングをしているのは、故障を招くなどの事態を引き起こし、それこそ選手寿命を縮めてしまって、本末転倒』

という事だ。

 

ハードトレーニングとは別の方法で、成長を狙うのだ。

それは、多くの場合、テクニック的な事を磨く事で成長する。

 

例えば、20年前の世界記録は(もっと前でもいいが)、自分でも出せる。

20年前の世界記録保持者の体力は、今の自分より上だったのは間違いないはずだ。

にもかかわらず、今の自分なら彼を越えられる。

 

その違いは、技術的な事なのだ。

『20年進化した新しいテクニックを自分が使っている』から、『体力的に上である20年前の世界記録保持者の世界記録』を上回る事が出来るのだ。

 

だから、ベテラン選手は、20代までに鍛えた体力を維持するだけのトレーニングで十分であり、ハードトレーニングに費やしていた時間を技術面に向ける事で、成長が可能なのだ。

 

例えば、『力を出す(スピードを出す)』という事に絞って言えば、

若い頃は、『筋肉を太くするなどして、出力限界を上げる事で力を出そう』として、ハードトレーニングにばかり目が向いてしまいがちだが、

ハードトレーニングが出来なくなったベテラン選手は、『体の柔軟性』を磨き直すなどして、

その『しなやかな筋肉』を利用して、より多くの筋肉を繊細に使って体を動かす事で、

『より大きな力を伝える』ようなテクニックを磨く方向で、練習方法を組み立てる。

 

つまり、『太い筋肉から力を出してスピードを上げる』方法から、

『筋肉の太さは変えずに、より多くの筋肉を、より繊細に、より効率的に使って力を伝える事でスピードを上げる』方法に、成長戦略を変える。

 

繊細さを求める訓練なら、体力的に追い込むハードトレーニングはむしろ悪影響だ。

 

ハードトレーニングが必要ないのなら、疲労が抜け難くなった30代のアスリートだって、十分に戦える。

 

加齢によってもたらされた精神面の10年は、若者が簡単に覆せるような差ではない。

その多角的な視点から戦術を考えれば、加齢にも、多くの利点が存在している。

 

 

■ 年齢ごとのトレーニング

各年代のトレーニング方法は、おおよそ以下のようなものだ。

※注1
『30歳からスポーツを始めた』といったような人は当てはまらない。
※注2
私個人の経験なので、参考程度に。

 

【小学生まで】

小学生までは、ただ楽しくやればよい。

この頃にやり過ぎると、競技自体を嫌いになり、子供の内にやめてしまう。

30歳以降に選手のピークがあるのに、目先の目標をクリアするためにハードトレーニングを課して、競技自体を嫌にさせてしまう練習は、戦術として間違っている。

人間は、ひとつの事を続ける事で、その奥深さを知り、没頭するようになる。

単に、目標をクリアしていくだけでは、簡単にはクリア出来なくなる時が、いずれ来て、苦しさから逃げるようにして辞めてしまう。

『目標を達成する喜びを感じられるような練習』、かつ、『長く続けられるような練習』でなくてはならない。

 

【大学生まで】

中学生頃から徐々に練習量を増やしていき、高校生か大学生頃は、『過ぎる』ほどの量をこなして、体力の限界値を高くしつつ、たくましい精神を養う。

この頃は、精神的に未熟なため、量に頼る以外の良い練習方法があまりない。

 

【20代〜30代前半】

20代に入った頃から、精神的に成熟し始める代わりに、徐々に疲労が抜け難い体になる。このため、量に頼る練習では結果が出せなくなる。

量をこなせない代わりに、感覚を重視した練習に切り替えていく。

30歳前後頃は、精神的にもかなり成熟し、かつ、体力面はほぼ人生のピークを向かえるため、最高のパフォーマンスを出しやすい。

また、大学を卒業してからは、ほとんどの選手は一般企業に就職しなければ生きていけない。

一般企業では競技を続けられないと思い込んでしまいがちだが、そんな事はない。

『競技人生』と『自分の人生』を融合させる時期に来ているだけだ。

『与えられた環境で、やれる事をやっていくのが、選手としての仕事の進め方』であり、それが仕事にも生かされ、どこまでが競技人生で、どこからが仕事なのかのラインは引けないものだ。

 

【30代中盤〜】

30代中盤頃から、さらに疲労が抜けなくなり、日々の疲労がうまく抜けず、普段のトレーニングがうまく積み上げられなくなってくる。

『疲労との付き合い方』に力点を置きながら、トレーニングを行う。

疲労し過ぎると、疲労が抜けず、疲労した体のままでは、技術も磨けない。

競泳で言えば、疲労した体では、体を高い位置に保てないので、沈んだ位置で練習を重ねてしまい、沈んだ位置でしか泳げなくなり、成長しないどころか、泳ぎがどんどん崩れていく。

泳ぎが崩れ過ぎて、うまく立て直せなくなって、『もう、この辺で引退するか』という思いがグングン膨らんできてしまう。

 

 

40代以降は、私は経験していないので、どういう方向に持っていくのが良いか分からないが、40歳にもなれば、他人の意見など聞くまでもなく、成熟されたトレーニングを試行錯誤できるはずだし、それが楽しく、そこに『競技に取り組む目的』があるはずだ。