もぐれない初心者 (2)

〜 初心者向けのコツ 〜

2010.10.10

  

 

 初心者用の水中スタート

『初心者の体は、水の扱い方を知らないから、潜るくらいの簡単な事も出来ない』のに、

『陸上で息をするのと同じレベルで水に慣れている選手』と同じ動作をいきなりするのは、難しいかもしれない。

 

初心者は、水深や距離感を感覚で掴む事が出来ないので、

ジャンプの勢いを付けてから水中に潜ると、壁に足が届かなかったり、

ちょうど良い深さに足を着けないかもしれない。

 

そんな時は、片足を壁に着いたままで、選手のマネをすると良い。

この片足は、壁を蹴り出すまで離れないように着いておく。

 

初心者用のスタート方法

 

足の着く深さの普通のプールでは、潜る位置は、だいたい膝の位置くらいだが、

その位置に、先に片足を壁に着いておく事で、壁を蹴る位置の目印を、足先の感覚として得ておく。

 

『選手が自然になんとなく体全体で掴んでいる水の感覚』を、『足先で壁を触る感覚』で代用するわけだ。

 

『片足を壁に着けたまま動作する事によって、仕方なく制限されてしまう動作』以外は、選手の動作と同じで、

軽くジャンプして勢いを付けてから、水中に潜って両足を壁に着き、潜る時の反動を利用して、壁をまっすぐ蹴り出す。

 

 

■ 水深のコントロールテクニック

壁を蹴った後の姿勢(ストリームライン姿勢)は、とにかく、体をまっすぐ一直線。

 

初心者の場合、特に重要なのが肩の絞りで、頭の後ろで手を組む。

 

 

なぜなら、水深は、体の前面/背面に流れる水流によってコントロールしているため、一直線でなければ、水深をうまくコントロール出来ないためだ。

 

水流を背中側に逃がすと、まっすぐ進む

 

手首の角度腕を使ったりして、水流を背中側に逃がすと、体はプールの底側に押されてまっすぐ進む。

もちろん、手首の角度を急にするなどすれば、水中深く潜る事も出来るが、潜れない事で悩んでいる初心者には、無用な動作だ。

 

 

手首の角度や、体全体を軽く反れば水流は顔側に流れるようになり、体は浮上する。

 

水流を顔側に逃がすと、浮上する

 

『お腹側に水が通れば、体は浮き上がる』のに、

壁を蹴る勢いが足りない初心者が、浮き上がる方法を使って潜ろうとする事』

が、いかに『理に適わないムチャなやり方』であるか、分かるであろう。

 

体が浮き上がる方法で潜るのはムリ
(選手なら、手やドルフィンキックを使って潜れなくはない)

 

 

また、肩が極端に硬いなどして、この『まっすぐな姿勢』が作れないと、壁を強く蹴っても水の抵抗が大きすぎてスピードが上がらず、

『前に進む体の勢い』よりも、『水から受ける浮力の影響』の方が強くなってしまって、すぐに浮き上がってしまう。

 

まっすぐな姿勢が作れないと失速して浮上してしまう

 

 

もし、『肩が硬くてまっすぐな姿勢が作れない人』は、毎日、コツコツとストレッチをして肩の柔軟性を復活させる。

これは、単に水泳だけの問題ではなく、体のこの程度の柔軟性は、体の健康を最低限維持するためにも必要だ。

 

動物は『動く物』であるので、『体の状況が、動かなくなる方向に向かっている』というのは、

『単なる物体(つまり、死)に向かってまっしぐらに突き進んでいる』事を意味している。