初心者の平泳ぎ練習 (2)

〜 キックの実践 〜

2009.11.20

  

 

『かかとで押し出すコツ』のイメージが掴めたと思う。

では、実際に水中に入り、ビート板キックの練習に移る。
(壁を握って蹴る『壁キック』からでも良い)

 

とにかく、『かかとで押す』事にひたすら集中して欲しい。

それ以外の事は、平泳ぎがうまくなってから、また、考えればよい。

 

足を引き付けて、押し出す瞬間に、

 『一気に』
 『かかとで』
 『ビュンと』
 『真後ろに』
 『押し出す』

 

 

『足を回転させよう』とする必要はない。単に、足を前後させればよい。

 

ただ、蹴り始める瞬間だけ、力をグンと入れて、一気にかかとを押し出す。

その後は、惰性で素直に足を伸ばしていけばよい。

 

蹴り出した後に注意する事は、

『キックを蹴り終わった時に、足首を反して足先を伸ばしてはいけない。蹴り終わりも、かかとで』。

という事だ(上図赤丸部分のような状態が、初心者にとって正しい蹴り終わり方)。

 

イメージしにくい場合は、『サメに襲われて、そのサメを両足のかかとで、蹴飛ばすイメージ』で蹴ると良い。

一発、一発の蹴りで、しっかりサメにダメージを与えるつもりで蹴ると、スピードが増すはずだ。

 

 

このイメージで蹴ると、『足を回転させる動作』ではなく、『直線的な蹴り』となるはずだ。

 

足先の動きを注意して観察すると、蹴り終わった時に、左右の足の親指がぶつかる事はなく(足首を伸ばさない)、左右のかかとが、ぶつかるはずだ(初心者は意識してぶつける。慣れてきたら、自然で良い)。

 

確かに競泳選手は、足首を反して、一直線上になって抵抗を減らそうとしているが、それは

『抵抗を減らすために、自然と足を一直線上にしているだけ』

であって、

『陸上でジャンプする時みたいに、足首にスナップを効かせ反す事で、推進力を得ている』

わけではない

 

スナップを効かせようとして足首を反すと、水は床と違って反発力が小さいからすっぽ抜けてしまって足首が早く反り過ぎ、水を最後まで、かかとでしっかり押す事が出来なくなる。

 

『キックの終盤まで、かかとで押し続ける事』

が、平泳ぎのキックから推進力を得る重要なポイントなので、初心者は足首を反す必要はなく、『かかとをぶつける』つもりで蹴り出せばよい。

 

また、初心者に多いのが、足の回転率を上げて進もうとして、蹴り終わった後、すぐさま足を引き付けてしまう事だ。

いち、に、さん、・・・・・・

という連続したリズムで、初心者はキックを動作させてしまいがちだ。

 

この初心者のイメージは、おそらく『足を引きつけた状態(足を曲げた状態)で、タイミングを取る』というものであると思われる。

陸上で連続スクワットをするかのように、『足をグルグルと常に回転させ続けた方が進む』と勘違いしているものと思われる。

 

しかし、足を曲げた状態は、水の抵抗が非常に大きく、せっかく蹴り出しで加速した勢いを、殺してしまうので、

いちー・・、にー・・、さんー・・、・・・・・

のリズムで、足を伸ばした所でリズムを刻むようにしなければ、なかなか前に進まない。

 

また、『両足同時にかかとで蹴り出すと、どうしてもうまく進まない』場合は、クロールのキックを、平泳ぎの足の使い方で交互に蹴る訓練をすると良い。

 

 

このドリルは、日本ではあまり行われていないが、アメリカでは平泳ぎの競泳選手も行うドリルで、『かかとで蹴り出す訓練』になる。

※※ 備考 ※※
『アメリカや外国の方が、日本より正しい』

とは思っていませんが、このドリル訓練は、非常に良いドリルだと思います。私は、

『ドリル練習を通常の練習と同じくらいたっぷり時間をかけてやるのなら意味があるだろうが、実際の泳ぎから大きく外れた動作であるドリル練習を、意味も分からず練習の合間にちょろっとやったくらいでは、練習の合間の休憩にしかならず、そんなドリル練習はしても、あまり意味がない。少ない練習時間をドリル練習で食い潰すくらいなら、早く帰って体を休めるか、スイム練習に時間を割いた方が合理的だ』

と考えているので、ドリル練習はしないのだが、このキックドリル練習に限っては、競泳選手にとっても非常に効果が高いと考えています。

ま、私の場合、今でもクロールのキックが苦痛で、中学生まではクロールを泳ぐ時も、このドリルのような蹴り方をしていました(^.^)

競泳強豪校に進学して、そこであまりに笑われるので直しましたが、今考えると、『他人に笑われるから』程度の事で自分を曲げてしまう弱さが、私が一流選手に上り詰められなかった事の本質だったと考えてます。
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以上のようなイメージを持ってキックを行い、『かかとで押し出すキック』で、うまく進めるようになれば、もうそれは、平泳ぎが完成したも同然だ。