平泳ぎ (9) 〜 スライド泳法 〜
2008.10.15 |
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新型のフラット泳法では、水面を滑る感覚がある。 泳ぐという感覚よりも、ミゾオチでスライドして水面を滑る感覚に近い。
この『スライドする感覚』を、映像で見る事が出来る。 映像では、『プル動作で発生した渦』がバスケットボール大で、モヤッと写っている。
2001年福岡世界水泳 スロードノフ選手
このモヤッとした渦は、実際に体の皮膚で感じながら泳ぐ事が出来て、バランスボールの上を滑り出されるイメージに近い。
ただし、陸上でバランスボールの上に寝転がると、重力に逆らわなければならないために体をエビ反らせてしまうが、 水中は浮力によって無重力なので、エビ反る事はないし、エビ反っちゃったら、それは旧式のモーターボート泳法だ。
『水中の無重力状態』を考慮してイメージすれば、回転するローラーに吸い出されていくイメージに近いといえる。
具体化した『水面を滑るイメージ』
新型の『アゴの前で、肘を開いて閉じるだけのプル』は、カヤック泳法と同じ原理で、単に水を引っ掛けているだけで、プル動作で加速して進もうとする必要はない。
『プルで引っ張り、加速しようという努力』は、ムダになる可能性が非常に高い事は、 『このモヤッした渦をどう扱い、いかにうまくスライドして、水面を滑るように泳ぐか?』 を考えると、理解でき、 プル動作の後の水流が、スロードノフ選手と、北島康介選手でどう違って流れるかを見比べると、 『100Mで1秒の差が付く、2人の速さの違い』 が実感できる。
2001年福岡世界水泳 スロードノフ選手
2008年北京五輪 北島康介
この状態を分かりやすく捉えるために、『2人の泳ぎが同じだと仮定』して模式的に現したのが下図だ。
模式図
スロードノフ選手は、旧式の『長く引っ張り、胸の下に抱き込むプル動作』を使っているせいで、バランスボールが完全に太ももにぶつかってしまい、この瞬間、カクッと減速する。
一方、『アゴの前で肘を開いて閉じるだけの新式 コンパクト プル』を使う北島康介選手は、手を引っ張らない分、バランスボールが太ももにぶつからず、回転するバランスボールの上を太ももがスムーズに滑り出されていく。
映像として確認すれば、スロードノフ式の泳ぎが『カクッと減速している』事は容易に分かるが、泳いでいる選手自身の感覚では、この 『蹴り出しの直前に、カクッと止まる感覚』 が、 『キックのための溜め動作。このカクッて感覚は、強いキックが打ててる証拠』 と勘違いしてしまうため、注意が必要だ。
『太ももに水がぶつかる感覚』『キックを溜めているつもり』、それは、減速のサインだ。
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