平泳ぎ (8) 〜 推進方式の進化 〜 2011.04.10 |
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モーターボート泳法の時代は、ずっと昔に終わった。
クロールの『中心1軸 S字ストローク』が廃れ、『中心軸で ローリングしないストレートストローク』に変わった事からも分かるように、 モーターボートをイメージして腰を反り上げ、プル/キック動作のフィニッシュ!で加速する泳ぎ方は、すっかり廃れてしまった。
推進ベクトルが斜め上に向いている事がムダで、 体が立って下半身が沈んだ分、抵抗が増える事がムダだから廃れ た。
旧式のモーターボートイメージ泳法は、 『ボートの後ろにあるスクリューが発生させた推進力を使って、前に進む』 という発想の泳ぎだったが、その発想は、 『陸上では、車輪で走る車や電車が速いから、人間が走る時も、昔の漫画のように、足をグルグル渦巻き回転させればいい』 という発想と同じで、非現実過ぎた。
人間の手足は、スクリューのように高速回転はしないし、スクリューのような大きな推進力も生み出せない。
旧式の『引っ張ってきた水をフィニッシュ!で加速させる方式』に 代わって、 『1990年代〜2000年代前半に自由形短距離で活躍したロ シアのポポフ選手』のカヤック泳法のように、 『掴んだ水の位置に、体の方を移動させる方式』 が、現在、使われている。 (ポポフ選手本人が、『カ ヤックの要領で手を掻いて泳ぐ』と言っていた)
喧嘩の仲裁に入って腹を刺され、集中治療室行きになっても世界王者であり続け(1996年アトランタ五輪1ケ月後の事件)、 50Mを『Vパン水着』で21.64で泳いだのはポポフ選手一人だけで、2011年の現在でも、『水着に頼らない最速クロール』は、ポポフ 選手のカヤック泳法で間違いないだろう。
(ポポフ選手一人だけ、スローピッチ)
カヤックを実際にやっている人に聞いたのだが、カヤックでは実際に、『パドルで押した水で進む』のではなく、『パ ドルの位置に、船の方を持っていく要領で漕ぐ』そうだ。
つまり、現在の推進方法は、『入水した手を支えにして、体の方を前にスライドさる推進 方法』であり、『フィニッシュ!した勢い』で進んでいるわけではない。
平泳ぎも同様で、現在の平泳ぎでは、 『肘の位置に体をスライドさせ、曲がった足のカ カト(又は膝)から上に伸び上がる。ほふく前進の 要領』 で、水の上を直接、進む。
旧式のように、手で掴んだ水を胸の下で押し出した勢いで間接的に進むわ けではないし、足裏で掴んだ水を挟み出した勢いで間 接的に進むわけでもない。
間接的に進むと、水を引っ張っている間に力が体の各関節に吸収さ てしまって水に直接伝わらず、効率が悪い。
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