平泳ぎ (10)

〜 スプーン泳法 〜

2011.04.10

  

 

『そうか! 滑るようにして、フラットに泳げばいいんだ!』

と感動しても、おそらく、フラットに泳ぐ事はできない。

 

それは、『泳ぎの見た目』を理解しただけで、実際の動作感覚をイメージできたわけではないからだ。

 

 

世間一般には、現在の泳ぎを『フラット泳法』と言っているから、

『フラット』という言葉から連想される安易なイメージを使って、体をまっすぐにしようとして力が入り、

棒状になった体は、大きく上下動する。

 

地震の時、ガラスが割れ、タンスが倒れているのに、カーテンはたいした被害もなく、すました顔で下がっているのと同様に、

体の『見た目の揺れ』を押さえるためには、体内では逆に、しなやかに筋肉を動かす必要があるが、

『筋肉は、力を入れる道具』であるため、筋肉を緩める事で目的の姿勢を作る作業は、非常に難しい。

 

見た目の上下動が大きい泳ぎの場合、体内の筋肉は、力が入って大雑把に動いていて、

見た目の上下動が少ない泳ぎの場合、体内の筋肉は、リラックスして繊細、かつ、ダイナミックに使われている。

 

『自分で意識できる心』と『深層心理』の関係のように、物事の『表面』と『本質』は逆である事が多く、

『物事の表面を捉えて世の中を見ている人』と、『物事の本質を捉えて世の中を見ている人』の意見が真逆で対立するのと同じだ。

 

 

『筋肉をどうリラックスさせて、どの力を使えば、目的の姿勢になるのか?』

という説明をせずに、『フラットに泳げ』なんて言っても、

選手自身は自分の泳ぎを見ながら泳いでいるわけではないから、

泳ぎは逆に、ギコバタだ。

 

選手は、『頭の中にある泳ぎのイメージ』『体の実感覚』を擦り合わせながら泳ぎを作っているのだから、

『イメージや感覚の話が欠落したフラット話』は、ほとんど役に立たない。

 

『選手自身の体内から捉えた姿勢』で泳法イメージを指摘したのが、スプーン泳法だ。

 

 

フラットに泳ぎたければ、スプーンイメージ泳法を自分の頭でイメージしなおして、泳げば良い。