平泳ぎ (6)

〜 プル 〜

2011.03.20

  

 

平泳ぎのプルは、

親指を下にしてキャッチなんてしないし!

逆ハート型に掻かないし!

キャッチした水を胸に抱き込む事もないし!

『ハイエルボー』も、とっくの昔に廃れてしまって、使われていない!

 

北島康介選手の平泳ぎだって、ウェーブ泳法ではない!

 

2000年以前に使われていたテクニックは、すでに廃れた。

真逆と言って過言ではないほど、廃れた。

 

 

平泳ぎのプルは、肩甲骨を開いた状態で、手の平は『小指がやや下気味から水平』。(キャッチを参照

肘は緩んだまま、ロックさせない。

 

2008年北京五輪 200M準決勝 北島康介

 

プル動作は、アゴ下よりも前で動作させ、肘は浅い水深の所で一定に保ったまま動作させ、

手を前後させたり、水中で肘を上下させない。

 

を開いて、を閉じる感覚』に近く、『肘から先で水をキャッチする感覚』もほとんどない

 

2008年北京五輪 100M平泳ぎ決勝 北島康介

 

※ 備 ※
『肩甲骨を開いて、肘でストロークするイメージ』は、

自衛隊に入隊し、『前にならえ!』を、ずーーっとやらされている事をイメージする。

前に伸ばし続けていた腕が疲れ、肘が曲がってきた所を上官に見つかり、お腹を殴られそうになって、『うっ!  と、お腹を引っ込めて逃げた時の姿勢』が、イメージとして近い。

『うっ!と、お腹を引く時に、膝が緩んで曲がる感覚』もキックの膝曲げのイメージに近い(上の北島選手写真の3番目の状態)。

ミゾオチを押し込みつつ、肘/膝関節が軽く緩み肩甲骨が開いている所が、特に似ている。

関節の力さえ抜けていれば、江頭2:50の姿勢にも似ている。
※※※※※

 

 

確かに、ウェーブ泳法が主流だった2000年頃までは、水中に手を押さえ込んでいたため、肘の位置も上下していたし、水を胸に抱きこむような動作も存在していた。

腕を内転させて、肘から先だけを水中に折り込むそのテクニックを『ハイエルボー』と呼んで使っていた。

 


2000年シドニー五輪代表選考会 林選手

 

 

全員が北島康介になる必要はないが、すでに廃れた技術を改良する事なく使い続けても未来はない。

廃れるには、廃れるだけの理由がある。

 

水中に手を押し込んだり、ハイエルボーで肘先を水中に曲げるという事は、視点を変えて見れば、腰が沈む動作である事が分かる。

 

つまりベクトル的に見て、フラットな動きではない

 

 

ウェーブ泳法では、『水中抵抗よりも空気抵抗の方が圧倒的に小さい』という狭い視点から、手先を水上に大きく出していた。

 

2000年シドニー五輪代表選考会 林選手

 

 

しかし、水上に出た体には、重力がかかり重くなるし、体が立ってしまって、下半身が沈む。

つまり、『ベクトルの向きを斜めした体の動き』はムダだ。

 

確かに、北島康介選手も、ウェーブ泳法風に泳いでいた2000年頃は、手が水上に、結構出ていた。

しかし、2008年の北京五輪では、もうほとんど出ていない。

 

2008年北京五輪 100M平泳ぎ決勝 北島康介