平泳ぎ (5)

〜 新旧フラット泳法の違い 〜

2008.10.15

  

 

フラット化の戦略に回帰してきた平泳ぎ。しかし、その記録は30年前のフラット平泳ぎよりも『100Mで5秒以上』と大きく速い。

(平泳ぎだけでなく、2004年頃から、4泳法ともフラット化へ向かっていて、自由形もS字ストロークが廃れ、ストレートストロークに回帰してきた)

 

30年前の旧式フラット泳法と比べ、スロードノフ式の新フラット泳法が優れていた所は、

【1】 足の引き付けタイミングが遅い
【2】 上体が後ろに下がりながらキックを蹴る

部分だ。

 

 

1980年代頃までの旧型フラット泳法は、おおよそ

『手を胸の下に引き込む動作といっしょに足の引き付けを開始し、手を前に戻すのといっしょに足を蹴り出す』

というタイミングだった。『縮んで、伸びる』というタイミングだ。

 

1985年 全国中学体育大会 100M決勝

 

この『縮んで、伸びる』タイミングでは、

プルで進もうとする時には、引き付けた足に水が引っかかって失速し、

キックで進もうとする時には、プルのリカバリーで失速してしまい、推進力が相殺されて効率が悪い。

 

ところが、新型フラットでは、おおよそ

『手を前方に戻し始めると同時くらいに足を引き付け始め、手が前に戻りきる直前に蹴り出す』

というタイミングで泳いでいるため、推進力が相殺され難い。

 

2001年 福岡世界水泳 100M決勝

 

ちなみに、この動作タイミングはスロードノフ選手でも北島康介選手でもおおよそ同じだが、ウェーブ泳法の林亨選手でもおおよそ同じだ。

 

2008年 北島選手

 

2000年 林選手

 

『なんだ、ちょっとの違いじゃないか』

と思えるだろうが、実際にやってみるとまったく違っていて、旧泳法で泳いでいる人は、うまくタイミングが取れないはずだ。

 

このタイミングの違いは、『後方バック式のキック』を使っているかどうかの違いなのだが、『後方バック式キック』についてはあらためて後述する。