ガンダム式 引継ぎスタート法 (8)

〜 まとめ 〜

 

2008.02.01

  

 

【まとめ】

以上、長々とたくさん説明をしてきたが、リレーの引継ぎの基本は、以下のようにまとめる事が出来る。

【1】 3M前の準備

泳いで来た選手が残り3M付近に来た時、選手全体をボールと捉えて、ボールをキャッチする感覚で、タッチ板にぶつかる瞬間を先読みする。

 

【2】 引継ぎ動作開始

向かって来る選手が十分近づいてきたら、タッチ動作に入った選手の手の動きに意識を合わせ、先読みして得たタイミングで前に倒れこみ始める。

 

【3】 タッチ完了待ち

向かって来た選手の手がタッチ板に触れるまで、倒れ込み続けて待つ。

 

【4】 蹴り出し

タッチした瞬間に、スタート台を蹴り出す。

 

第3章、第4章で説明した

「泳いで来る選手をボールと捉えて壁にぶつかるタイミングを先読みする」

「倒れ込みながら、目でタッチを追いかけ、タッチ板にタッチの指が付いた瞬間、すぐに足首に力を入れて蹴り出す」

というテクニックで、十分な引継ぎが出来る。

「練習時間を引継ぎ練習のためにほとんど割かない」

「引継ぎ経験が未熟だ」

といった状況の選手は、上記の基本テクニックさえ押さえれば、実践レースで十分戦える。

引継ぎ経験を十分に積み、もっと上のテクニックを使いたい場合には、第6章で説明した、ガンダムがカタパルトから出撃していくイメージ内で技術を考え、試行錯誤していけば良い。

引継ぎ経験の未熟な選手が注意しなければならない事は、

引継ぎテクニックは、練習だけでは十分に習得できない

という事だ。なぜなら、実践レースにおいては、

「泳いで来る選手に、練習の時より勢いがある」

「自分自身の体が良く動く」

といった、実践でしか出せない微妙な力の影響があり、これを考慮した動きを練習だけで体得する事は、難しいからだ。

特に

「自分自身の体が良く動く」

という影響は大きい。

練習中の引継ぎ練習では、疲労などからジャンプ動作などがレース時よりも若干遅い。

実際、私自身、練習中に

「もう少し早く飛び出しても良いよ」

と指導されていたにもかかわらず、試合会場入りした引継ぎ練習では、飛び出すタイミングをまったく変えていないのに、

「完璧な引継ぎだよ」

といった事が当たり前となっている。

レース当日は、調整をして疲労も抜けており、緊張感から体が機敏に動く分、同じように反応しても速く飛び出せるのだ。

この事を考慮せずに、練習中の感覚で、引継ぎが完璧になるタイミングを掴んでしまうと、本番ではギリギリの所でフライングを取られて失格しかねない。

もちろん、こういったことは個人差があるので、個々人で自分自身をよく見つめて、自分の体のクセといったものを考慮して、レースに繋げていく必要がある。

こういった、

「実践レースでしか積む事のできないテクニック」

もあるため、第6章で説明したような「飛び出す勢いを増すテクニック」を磨くのは、十分なレース経験を積んでから行う方が良い。

また、ここでは、第5章で説明したように、膝の屈曲を少なくした方法を推奨した。

個人的な意見では、ここで説明してきた方法が最善であると考えているが、膝の屈伸動作を使ったジャンプで飛び出す方法や、フラットスタートとまったく同じクラウチング状態から腕でスタート台を引っ張って飛び出していく引継ぎも悪いわけではない。

自分独自のやり方の方がしっくり来るのなら、そちらの方が良い引継ぎ方法だ。

しかし、なんとなく引き継いで来た人は、もう一度、理論的な視点から、引継ぎテクニックを思考してみて欲しい。