学校水泳 (7) 〜 背泳ぎのキック練習 3 〜 高橋大和 |
||||
「背面浮き」が出来るようになり、「足をまっすぐ伸ばしたキック」が打てるようになれば、背泳ぎのキックは完成しており、子供は「背泳ぎのキック」が出来るようになっている。
図 7-1
図 7-1の左側のように、選手級の背泳ぎのキックが打てれば理想的だが、泳げなかった子がやっと成長してきた段階では、右側のように下半身が沈んだ状態でしか出来ないはずだ。
しかし、それで十分だ。「お尻」や「太もも裏」、「ふくらはぎ裏」に軽く補助を入れれば、下半身が浮いてくれば十分だ。 下半身が沈んでいようとも、このままの姿勢で25Mを楽にクリアできる。50Mだっていける。
「自分は泳げない」 と思っている"泳げなかった子"が、どんな姿勢であれ25Mを泳げれば、 「自分は泳げる」 という確証を、無意識に持つようになる。
体の動作は脳が制御しているため、脳みそが「出来る」と判断できない動作は、当然、実際の体でも動かせない。 人間は、頭でイメージできた事ですら、すぐには体で表現できない。 ましてや、頭でイメージできない事は、限りなく100%に近い確立でうまくできない。
言い換えると、テクニックを身に着けるには、まず、本人の意識が正しい方に向いている必要がある。 この段階で子供はやっと、「泳ぐ意識」を、理性ではなく、感覚として持てた事になる。
「意識」や「イメージ」も、テクニックの要素の中のひとつなのであって、体だけ動かしていれば、テクニックが手に入るわけではない。
ここまでの事ができないのに、いくらクロールを教えたって、不器用な子供は泳げるようにはならず、泳げるようになる前に、諦めてしまう可能性の方がグッと高くなってしまう。
ここまでの指導は、「4泳法の基礎の基礎」であり、「泳ぐのに必須なテクニック」である事を、よく認識する必要がある。 器用な子供には、どう教えても泳げるようになるが、不器用な子供には、シンプルな道順で、ワンステップずつ身に付けていかせる事が重要だ。
|
||||
|
||||