学校水泳 (5) 〜 背泳ぎのキック練習 1 〜 高橋大和 |
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背面浮きがおおよそ出来るようになったら、次のステップへと進む事になる。 背泳ぎのキックだ。
背面浮きがおおよそ出来るようになれば、もう泳げたも同然だ。 なぜなら、背面浮きのまま、ゆっくり足を上下に動かせばいくらでも泳げるからだ。
ただ、ここまでの背面浮きは、手が腰の横にあるため、泳ぐのに"より近い"姿勢を作るために背泳ぎのキックの練習に移る。 背泳ぎのキックの姿勢は、泳ぎの基本姿勢である「ストリームライン」に限りなく近い姿勢であるため、とても良い練習になる。
背泳ぎのキックでは、手を重ねて頭の後ろで肘をしっかり絞り込む。 肘を伸ばして、頭の後ろで絞り込む事が重要だ。
子供はまだ体がやわらかいので、頭の後ろで肘と肘が付くほど絞り込む事が出来るので、めいいっぱい、しっかり、肘を伸ばして両手を絞り込んでくっつける。
図 5-1
この「肘を絞り込む」作業は重要で、やってみれば分かるが、頭の後ろで肘を絞れば、胸を張るほうが自然で、逆に胸を丸める事の方が辛くなり、結果的に、「胸を張る」姿勢が強制される。
ただ、背面浮きが「おおよそ」出来るようになったレベルの子は、まだ下半身をうまく浮かす事が出来ず、下半身の重みに引っ張られて、体全体(特に顔)が沈みがちになっている。 しかし、まだキックを打たせる必要はない。 まずは、背面浮きの姿勢のまま、手を上に上げて組んだ姿勢で浮く練習をする。
「進む事」よりも「姿勢」の方が重要だからだ。 正しい姿勢が作れてこそ、推進力が生かされる。
両手を上に上げたバージョンの背面浮きを作ったら、子供の手の平を掴んで引っ張ってやる(赤矢印)。 子供の顔に水がかからない程度にゆっくり引っ張ってあげる。 足の沈み具合が大きい子は、やや水中方向に引っ張ってあげると、下半身が引き上がってくる。
図 5-2
すると、水の抵抗により(水が足に当たり)、足が浮き上がって、結果、体全体が浮き上がり、呼吸もしやすくなる。
子供を加速させたら、引っ張っていた手を離しても、子供はそのまま水面に流がれていき、沈まない。 子供は「水の浮力」の扱い方を、体で覚える。
重要なのは、 「何もしていなくても浮けるんだ。手足を動かさなくても浮く事が出来るんだ。浮く事は簡単なんだ」 という事を体で感じる事だ。
可能な限り、 「浮いているのが気持ちいいなぁ。水は気持ちいいなぁ」 という感情を持たせるようにしてあげる。
この「体感を得る作業」を怠って、「25M泳ぐ」といった「進む事」に指導を移しても、運動音痴の子供が泳げるようにはならない。 「浮くのは簡単」という事を体感して、「水の扱い方」「水中での体の使い方」を体で覚える事は、泳げるようになるための必須条件なのだ。
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