マスターズ大会に出よう! (5)

〜 アップ 〜

2010.06.10

  

 

■ アップの概念

初心者の場合、

『レースで泳ぐだけでも疲れるのに、なんでレース前にまで泳ぐのか意味が分からない』

という人も多い。

 

アップで泳ぐと疲れてしまうような初心者の場合、『泳ぐアップ』は必要ない。

陸上で、体を動かすだけで十分だ。

 

競泳選手のアップは、

『水の感覚を再確認しておきたい』

という理由が大きいので、

『水の感覚の違い』がまだ分からない初心者には、事前にプールの水を確かめる必要性がない。

 

※※ 備考 ※※
プールによって、微妙に水の感覚が違っていて、水が軽かったり、重かったりするので、選手は、その感覚を確かめて、泳ぎの微調整をしている。

(もちろん、日々の体調の変化や、泳ぎのイメージなどもアップで微調整しているので、『水の質』だけの問題ではない)

 

初心者が、この水の違いを肌で感じる事は難しいが、選手にとっては、この水の感覚が、その日のレースを大きく左右するといっても過言ではない。

 

例えば、競泳選手の多くは、重要なレース時に、ワキ毛を含めた全身の毛を剃り上げるが、毛を剃り上げると、水の感覚が鋭くなり(シャープになり)、泳ぎに新鮮なキレが出るため、剃り上げている。

オリンピックなどのテレビ放送で、男子選手のワキ毛やスネ毛がないのは、そのためで、それほど『水の感覚』は、選手にとっての生命線となっている。

 

体毛を剃り上げるのは、その選手が重要視している大会だけなので、男子選手の場合は、

『ワキ毛のある/なし』で、その大会に懸けている度合いが見て取れ、場合によっては、予選はワキ毛があったのに、次の日の決勝は剃られている事もある。

 

ちなみに私は、『オリンピックに出た時、毛を剃る』と現役時代に決めていたので、未だに、信念だけは曲げたくないので、重要なレースでも剃りません (^.^) 
※※※※※※※※

 

 

アップで重要なのは、レース5分前に体を十分動かしている事であるため、

陸上で、体を十分に動かしていれば、泳いでアップをする必要はない。

(『アップ効果は5分間しか持たない』という実験データーが複数あり、私の自論ではありません)

 

ただ、心臓が動いていないと、すぐに息が上がってしまうので、特に午前中のレースは、できればプールに入って泳いだ方が、心臓発作的な意味で安全だ。

寝起きは心拍数が上がり難いので、アップで一度上げておくと、レースの時に心臓が良く動いてくれる。

 

 

■ 初心者のアップ

アップで疲れてしまっては意味がないので、やり過ぎは注意。

大切なのは、レースの時に、体が温まっている事なので、召集所で体を動かし、うっすら汗が滲む状態にしていればベストだ。

(室内プールは暑いので、冬でもすぐに汗が出る)

 

レースで飛び込む時や、ターンで壁を蹴る時には、いつも以上に強い瞬発力が、ふくらはぎから生み出されるので、この時、足がつりやすい。

召集所で、ぼーっと座っていないで、体をしっかりほぐしておく。

(もちろん、立ち続けている必要はなく、疲れないように座ったりしても良い)

 

もし、事前に泳いでアップをするのであれば、レースの30分〜1時間前までにアップを完了させる。

目安としては、5〜10分も泳げば十分だ。

 

泳いだ後は、体が冷えるので、水着を着替えて、陸上で体を再度動かす。

乾いた水着に着替えるのは、必須と考えてよい。

 

女性用の水着や、スパッツ水着のように、体を多く覆う水着が濡れていると、気化熱で体温が奪われ、水着の布の部分が寒い。

暖房の吹き出し口のように暑い所ほど、気化熱でキンキンに冷えて冷たい。

(プールサイドは暑すぎるほど、暖房が噴き出している)

 

更衣室に一旦戻って、水着を着替える時間も考慮して、アップは行う。

もちろん、時間がないときは、そのまま、出場した方が良いし、着替えないからといって、失格になる事もない。

 

 

■ 飛び込み練習

飛び込みの練習は、通常、レース前の朝、メインプールが使える時しか出来ない。

多くの場合、『ダッシュコース』と呼ばれるコースが、メインプールの両側1〜2コース、用意され、そこでしか、飛び込み練習は出来ない。

(みんなが順番待ちをして飛び込んでいるので、行けばすぐ分かります)

 

本プールはレースが始まると、当然、アップは出来なくなるので、飛び込み練習は、朝一番しかできない。

(だから、午後からレースの人でも、朝から来ている)

 

通常、アッププールは、メインプールの横にあるダイビングプールである事が多く、ちょっと豪華な大会ではサブプールが使えて、そこがアッププールになっている事もある。