マスターズ大会に出よう! (11)

〜 バタフライ 〜

2010.06.20

  

 

■ バタフライ

初心者にとって、バタフライを上達させる方法は、クロールを練習して総練習量を稼ぐ事だ。

 

 

『バタフライを泳げるようになりたい』

という気持ちは良く分かる。

目標があった方が刺激になるし、泳ぐ動機を維持して練習を続けていく事が何よりも大事であるから、バタフライの練習をする事は決して悪い事ではない。

 

ただ、バタフライを、きれいに(速く)泳げるようになるには、クロールがそこそこ泳げる必要がある。

 

一般的に言って、4泳法の中でバタフライが一番難しい。

※※ 備考 ※※
バタフライが専門の選手に聞くと、みな口をそろえて、『クロールが一番きつい』と、驚く事を言うが、一般的に言って、バタフライが一番難しい。

バタフライの選手の言い分は、

『クロールは、手足を交互に動かすせいで、常に全力で動き続けるので、きつくてたまらない。

その点、バタフライは、手を戻す時は休憩できるし、足は1ストロークで2回しか打たないから楽(クロールは、両手を1回転する間に6回打つ)』

だそうだが、競泳選手でもバタフライを専門としない選手にとっては、バタフライが一番きつい。
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『割り算を理解する前に、基礎部分の足し算や掛け算を先に習得してしまう学習法の方が、効率が良い』

のと同様に、バタフライを習得するには、その基本テクニックを習得している必要があって、

 

【1】 適切なフラット姿勢(ストリームライン)

【2】 水を捉える感覚(スカーリングテクニック)

【3】 適切な手足の動作タイミングと、呼吸のタイミングを瞬時に判別できる感覚

 

が必要だ。

(理論ではなく、感覚。初心者にとっての『水の感覚』は、総練習距離に比例し、競泳選手並に多い練習量でも、習得にするのには、おそらく最低1年はかかる)

 

これら3つのテクニックは、バタフライ専用のテクニックではなく、4泳法共通のテクニックであり、泳ぎの基本テクニックだ。

 

バタフライの一番難しい所は、『呼吸動作』だが、このバタフライの呼吸は、腰をえび反らしてしてするわけではない。

(バタフライに限った事ではないが、)えび反った腰に体重が乗ってしまって、体全体が水中に引きずり込まれて沈んでしまい、逆に呼吸はやり難くなってしまう。

 

バタフライの呼吸動作は、

『手で水を引っ張るタイミング』と、『第二キックのタイミング

が合った時に体が前に移動する勢いで浮上し、その勢いを利用して、呼吸をしつつ、掻いた手を前に戻している。

飛行機が離陸するにはスピードが必要なのと同じ原理で、失速状態では体が浮上しないため、呼吸も、手のリカバリーもやり難い)

 

この『動作タイミング』と、『タイミングを作り出すためのスカーリングテクニックや、ストリームライン姿勢』は、理論よりも、圧倒的に感覚部分に頼っている。

 

初心者にとっての『基本テクニック』や『テクニックを得るための感覚』は、総練習距離に比例して習得されるものなので、総距離を稼げる練習が、最も効率の良いバタフライの練習方法になる。

練習量を一番稼げる泳法はクロールであり、クロールで練習距離を稼いで、基本テクニックを身に付ける方法が、初心者にとってのバタフライ上達最短距離になる。

※※ 備考 ※※
初心者が、総練習距離の重要性を甘く見てはいけない。

飛行機の機長になるには、総飛行時間が決められている』事からも分かるように、『水の感覚』といったような、『距離を泳ぐ事でしか得られないもの』を、理論で補う事は出来ない。

『経験』と『理論』は別物であり、経験と理論を同等に吸収し、融合させるのが練習であり、上達するという事だ。

競泳選手が初心者だった頃も、量を泳いで感覚を養い、トップ選手になっても量をこなす。

選手のように、1日の練習量が多い必要はないが、コツコツと練習を重ねて総練習距離を積み上げる事は、初心者であるほど重要で、効果が大きい。
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例えば、競泳選手は全員バタフライが泳げるが、バタフライの練習はしてきていない。

平泳ぎが専門の私の場合も、生涯練習量の90%が平泳ぎで、アップで個人メドレーを泳ぐ時以外で、バタフライを泳ぐ事はほとんどなかった。

 

つまり、バタフライの練習をしなくても、他の泳ぎが泳げるようになれば、バタフライは勝手に出来るようになる。

 

難しくて疲労の大きいバタフライの練習から基礎を身に付けるのは効率が悪く、無理やりバタフライを泳ごうとする変なクセが付いていしまうリスクもあるため、初心者のバタフライ練習は、ほどほどにしておく方がベターだ。

 

 

ちなみにバタフライは、平泳ぎから分離した泳法で、元々は平泳ぎだった。