実験 効果

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1.練習用水着とバイオラバー水着で何秒違うか?
  100Mで2秒以上速い。 [実験日 : 2009.01.04]

2.アップ効果、ストレッチ効果を上回るほどの効果があるか?
  アップ、ストレッチは水着以上に重要。 [実験日 : 2009.03.22]

3.実際のレース結果
  100Mで8年ぶりに0.1秒ベスト更新。200Mで21年ぶりに2秒ベスト更新。 [実験日 : 2009.02.15、2009.04.18]

4.予選/決勝100Mレースで検証!バイオラバー水着で何秒速く泳げるか?
  100Mで2.5秒速い。 [実験日 : 2009.06.06]

5.水着に空気をチョー溜めたら速く泳げるのか検証!
  単純には、速く泳げるようにはならない。 [実験日 : 2009.10.03]

 
 
 
 
 

 

 

実験[1]  練習用水着とバイオラバー水着で何秒違うか?

■ 実験条件

正月休み明けの朝9時頃(起床後2時間程度。その内1時間半は車での移動)、300M程度のアップを行い、練習用水着とバイオラバー水着で100Mを全力で泳ぎ比べた。

・1本目 : 練習用水着
・2本目 : バイオラバー水着

タイム的に遅いが(ベストプラス5秒以上)、流したわけではない。正月連休明けで泳ぎがおかしくなっていた上に、寝起きの朝に軽いアップしかしておらず、心肺面がまだよく動いていない状態で泳いだためにタイムが遅いだけで、2本とも全力である。

ラストの25Mはかなりきつかった。

 



練習用水着

バイオラバー水着

16.21
35.31(19.10)
55.21(19.90)
1.14.69(19.48)

15.88
33.94(18.06)
52.62(18.72)
1.11.34(18.72)



 

■ 実験結果

練習用水着とはいえ、その差3秒と、タイムがあまりに大きく違うので意図的に流しているのではないかと思うかもしれないが、決してそんな事はしていない。

2本とも全力で泳いでいる。

泳ぎまで違っているが、自分で泳いでいてもそれは感じたし、わざと泳ぎを変えているわけではない。下半身が浮く事で、勝手に泳ぎが変わってしまう(良くなってしまう)。

バイオラバー水着を着ると、ストローク数が25Mで1ストローク程度減る。にもかかわらず、25Mのラップタイムで1秒程度速くなる。

「下半身が浮いている感じがする」ではなく、明らかに「下半身が浮いている」。

明らかに、バイオラバー水着は速い。

※ 備考1 ※
年末にサークルクロックで計り比べた時にも、ほぼ同様のタイム差が出た。200Mに至っては、7秒半も速かった。

 


 

 

実験[2]  アップ効果、ストレッチ効果を上回るほどの効果はあるか?

■ 実験条件

100Mフリーで、

・予選 バイオラバー水着 (心理的にも、体的にも不利な朝一番)
・決勝 通常のレース用スパッツ水着 (心理的にも、体的にも有利な夕方)

で泳ぎ比べる。

アップやストレッチは一切行わない。午後の決勝は、予選で全力をだしているので相当有利な条件。

有利な条件下のレース用通常スパッツ水着のタイムを、不利な条件下のバイオラバー水着タイムが上回るか?

ただし、平泳ぎ以外は異常に遅い俺のフリーであり、平泳ぎほど安定したタイムは出せないので参考程度の実験。

また、フリーのレースにはめったに出ないし、ましてやフリーの個人レースで決勝に残る事はまずないので、フリーリレーのタイムで比較した。

タイムはいずれも短水路で、引継ぎタイム。レースには、調整なしで臨んでいる。

 

■ 実験結果

・予選(バイオラバー水着) : 59.5
・決勝(通常スパッツ水着) : 59.19

通常スパッツ水着の方が速かった。アップ効果、ストレッチ効果ほどの効果は水着効果はないと思われる。

ただ、フリーでもバイオラバーは浮いて楽な感じはあった。フリーは泳ぎなれていない事もあり、予選の泳ぎを決勝で修正できた部分もなきにしもあらず。

いずれにしても、レース前のアップやストレッチは重要で、体が動く状態を作る事はとても重要である事が分かる。

 


 

 

実験[3]  実際のレース結果

■ 実験条件

バイオラバー水着(下半身のみのロングスパッツ)でレースに出場し、どのくらいのタイムが出るか。

【100M平泳ぎ】 (2009.02.15 短水路)
12月末まで週4〜6日程度、2000〜3000Mの水中練習。だいたいいつも、100M平泳ぎと、流して100M自由形を交互に適当にやった(たまに 50Mや200Mも混ぜながら、気分次第で適当に)。それ以外に、ジョギングとベンチプレスや懸垂などもやった。

年明けからは、仕事が忙しく週末に水に触れれば良い程度の事しかできなかった。


【200M平泳ぎ】 (2009.04.18 短水路)
2月100Mのレース後、3月上旬2週間と4月上旬2週間は、週4程度は2000〜3000Mの練習量を確保できた。

練習メニューはだいたいいつもどおり、100M平泳ぎを泳いで、100M自由形で流すを交互に行った。それ以外の時期は、仕事の疲労で練習量は少なめ。

調整は2週間。

 

 

■ 実験結果

【100M平泳ぎ】
1.05.89で8年ぶりにベスト。バイオラバー水着を着ていなければ、良くて7秒台、おそらく8秒はかかったと思われる。

この2月のベスト時にはラップタイムを計っていないので、2009.4.18に泳いだ1.05.91のラップタイムと8年前のベスト時のラップタイムを比較

#2001年 30.71 - 1.06.04(35.33)
#2009年 31.75 - 1.05.91(34.16)

バイオラバー水着を着て、ストロークを減らした結果、8年前のベスト時より前半は1秒遅くなったが、後半は1秒速く泳げている。

しかも2001年のベスト時の練習量は、一日平均7000Mで週6〜7日、週末は2回練習で1万Mを越えていたため(2000年末〜2001年初頭の練習日誌がパソコンの中にあったのでリンク。 普段は練習日誌なんて面倒なのでつけてません。宮城国体に向けてがんばったとはいえ、すごい練習量ですねぇ。自分でも感心します)、100Mを全力でめい 一杯泳ぎ切った感じだったが、今回の練習量はその1/3以下だったにもかかわらず、タッチしてもまだ力が余っている余裕すらあった。

 

【200M平泳ぎ】 
2.24.41で21年ぶりにベスト。バイオラバー水着を着ていなければ、良くて29秒程度、200Mのレースとしては明らかに練習不足だったのでヘタをすると後半100Mで死んで30秒かかったかもしれない。

21年前は高校生であり、ラップタイムどころか、ベストタイムそのものも「2分26秒台」としか覚えていないため、社会人ベストの9年前(2000年)のラップタイムと比較。

#2000年 33.24 - 1.11.89(38.65) - 1.50.26(38.63) - 2.28.26(38.00)
#2009年 33.05 - 1.09.35(36.30) - 1.46.13(36.78) - 2.24.41(38.28)

2000年の練習量は、一日平均3000〜5000Mで週5〜6日程度だった(まだ、2回練習も始めていない時期)。現在は、その時の半分以下の練習量&練習強度だったためか、ラストの50Mはかなり浮いている。

ただ、50〜100Mと100〜150Mがゆっくり泳いだにも関わらず速い。現役高校生時代でも37秒を切って泳いだ記憶はないし、ちょっと調子の悪い100Mレースの後半だって36秒は余裕でかかるので、200Mで36秒台のラップを刻むのは相当に速い。

バイオラバー水着で下半身が浮く事で、ゆっくりでも高速で泳げる。

ま た、100Mのターン後辺りで感じる「うぁ、来た」という手足が痺れ始める疲労感覚は、バイオラバー水着を着ていてもあるのだが、それ以上、体が痺れた り、沈んだりする事がないため、気分的に「いけるかも」という前向きな気分になれる効果もあり、後半が気分的にも体的にも楽。

ただし、50Mの単発レースに限っては、俺の場合、効果をあまり感じれない。タイムも特に速くはない。

バイオラバー水着では下半身が浮くため、ピッチを上げるとその効果が薄まるものと思われる(ただし、他の人はそうでもないようだ。50Mで大きくタイムを上げている選手はたくさんいて、どちらかというと俺のように50Mで効果がない方がめずらしい)。

バイオラバー水着では、ピッチを押さえて水面を滑っていれば、楽に高速で泳げるという特徴がある。

その特徴を生かした泳ぎ方がある。下半身が浮く事で、現代風の泳ぎを体感しやすく、一度感覚を知る事で、通常の練習中にも新しいフォームを作って行きやすく、フォームの矯正効果が非常に高い。

 


 

 

実験[4]  予選/決勝 100Mレースで検証!

■ 実験条件

長水路100M平泳ぎの予選/決勝レース(2009.06.06〜07茨城県選手権)で水着を履き替え、タイム差を検証。

・予選 バイオラバー水着
・決勝 通常のレース用スパッツ水着
(2006年国体茨城県代表水着、ミズノ製)

バイオラバー水着が速い事はすでに分かっている事であるため、決勝にバイオラバー水着を着れば決勝が速いのは当たり前であり、

「予選は流したから遅いんでしょ」

という疑惑を排除するため、心理的、体の動き的に不利な予選でバイオラバー水着を着用して、タイム差を比較した。

決勝で全力を出し切るのは当たり前だが、県選手権は、現役選手たちと泳ぐため、予選も全力で泳がなければ決勝に進めない。

 

 

■ 実験結果

2.5秒もバイオラバー水着が速かった。

予選 1.09.52 (バイオラバー水着)  ラップ : 32.7 - 36.8  ストローク数 : 21 - 25
決勝 1.12.06 (レース用通常水着)  
ラップ : 33.8 - 38.2  ストローク数 : 20 - 23

ただし、2.5秒も速いのは、単に水着の速さだけではない(はずだ)。

予選のバイオラバー水着着用時の泳ぎの感覚と、決勝の時の泳ぎの感覚があまりに違いすぎて、決勝では泳いでいて泳ぎがおかしく、泳ぎが崩れてしまった事が2.5秒もの差になって現れたと思われる。

例えば、練習からずっとバイオラバー水着を着けずにやって、通常の水着で浮ける位置で泳ぎを作ってくれば、今回の決勝のように1分12秒もかかる事はなかったはずだ。

その証拠に、1年前の同大会では、通常のスパッツ水着で泳いだにも関わらず、

一年前の同大会100M決勝 1.10.64  ラップ : 32.7 - 37.9

であるため、このタイムとの差の1秒が、実際の水着効果と思われる。

私がこのレースで分かった事は、「バイオラバー水着は長水路100Mで2.5秒速い」ではない。

「道具(浮く姿勢)に合ったフォームがあり、そのフォームを作る事でより速く泳げる。浮く姿勢を維持できる方法で練習を積み上げ、フォームを作らなければ、高速水着の性能を完全に引き出すという事はできない」

という事だ。つまり、

「レースの時だけ、バイオラバー水着を着るよりも、練習中から着てフォームを作り込む方が良い」

という事だ。

 

※備考※
3月のFIAで長水路100Mを泳いだ時、長水路はスローピッチ過ぎになりやすく1分11秒もかかったため、今回は「ピッチを落し過ぎてはいけない」とい う気持ちでレースに出たら、今回は調子が良かったために、予選はピッチが上がりすぎてよい泳ぎが出来なかった。

そのため、決勝では、前半のピッチを少しだけ押さえて入った。前半を楽に入った分、後半速くても良さそうだが、実際には水着の違いによる感覚があまりに違いすぎて、決勝では泳ぎがおかしくなった。

こ の次の日の50Mの予選/決勝では、予選Vパン水着、決勝バイオラバー水着を試そうとしたが、100M決勝の後のダウンであまりに泳ぎが分からなくなって しまったので、「このままでは泳ぎを完全におかしくしてしまう」と考え、次の日の50Mは急遽、予選も決勝もバイオラバー水着で泳いだ。

(普段の練習が短水路だという事もあるだろうが、長水路でストローク数を減らして泳ぐフォームを安定して使うのは少し難しい。長水路でのレース慣れが必要)

 

 


 

 

実験[5]  水着に空気を溜め込むと速く泳げるのか?

■ 実験条件

今年(2009年)の高速水着開発競争により、浮く事がいかに重要で、浮く姿勢を維持して泳ぐ事でいかに楽に速く泳げるかを競泳界は痛感させられた。

そこで、「もっと浮かしたらどうなのか?」が気になる。

来シーズン(2010年)から高速水着が禁止される事とは別に、「どういう泳ぎを目指せば速く泳ぐフォームになるのか?」を知る材料として、個人的にはとても気になる。

そこで、空気が注入されている緩衝材を太ももに巻き、その上にバイオラバー水着(ロングスパッツ)を着る事で、下半身を浮き袋バリにバリバリ浮かせて泳ぐ実験をした。

練習中では、タイムが安定しないので、レースで試してみた。

 

この異常な太ももでレース(^.^)

 

太ももに巻いた緩衝材

 

※備考※
1. 通常は失格レースなので、失格になっても良い未公認大会で検証した。
2. 練習で試さず、レースでいきなり試したので、フォームが安定しなかった。
3. 2週間後に別の公認レースがあるため、テーパーをかけていない(疲労が抜けていない)。

 

 

■ 実験結果

今回のレース結果 1.07.07 (ベストプラス 1.18)  ラップ : 32.68 - 34.39

4/18のレース結果 1.05.91 (ベストプラス 0.02)  ラップ : 31.75 - 34.16

 


確かに、下半身が浮く事で楽だったが、浮き過ぎる下半身に合ったフォームを作って来ていないので、フォームが安定しなかった。

2週間後に別の公認レースがあったので、今回はテーパー(調整)をかけずに疲労状態で泳いだ事を考えると、タイム的にはおそらく、4/18にバイオラバー水着で泳いだ時と、ほぼ同タイム程度のタイムだったと思われる。

通常、高速水着を着用すると、スタート/ターン時の蹴伸びの加速で、非常に大きくタイムを稼げるが、映像を見て分かるとおり今回は、ターンの時に下半身が水中に沈められず、足先が水上に出てしまい、体が進行方向に対して斜めになってしまって(頭が水中、足先が水上)、ターンで大きく失速した。

従って、長水路ならもっとタイムが良かったと思われる。

また、空気層が分厚すぎて、これも抵抗になったものと思われる。浮く事は重要だが、体積が大きすぎると、やはり抵抗が多い感じがする。

ただし、浮く事で明らかに楽だった。

この実験に合ったフォームを練習中から作り、テーパーをかけて疲労を抜いてやれば、おそらく1秒弱程度はベストが更新できたと思われるが、これだけやって1秒程度しか速くならないのは、予想していたよりも効果が小さい。

来シーズンから高速水着が規制されるが、浮く姿勢を維持し、水面を滑るように泳ぐ事が重要である事には変わりはないと思われ、水着以外の方法で、伏し浮き姿勢をうまく作り出すテクニックを磨く必要があると考えられる。

また、伏し浮き姿勢を作り出すテクニックを磨くだけでなく、その浮いた姿勢に合ったフォームを作り込む作業が必要であると言える。

 

※備考※
上半身まで浮かせば、相当速く泳げそうな感じがした。バットマンスーツのようなスイムスーツを作れば、凡人による世界記録越えも可能のように思えた。

どっかの会社、チャレンジしてくれませんかね(^.^)。馬鹿げているように思えるでしょうが、未来の新フォームを模索するには悪くはないと思うのですが・・・・