実験 | 効果 | |||
■ 新型水着の真の効果 |
■ 新型水着は誰に最も効果があるか? |
■ レーザーレーサー系とバイオラバー系のどちらの水着を買う方が良いか? |
■ 蹴伸びで何秒速いか?(高速水着の効果は何秒か?) |
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■ 新型水着の真の効果 |
1.フォームの矯正効果が絶大 2.浮く事で楽に速く泳げ、後半の失速が減る
「バイオラバー水着を着ると、下半身が浮く」 という効果は、直感的にも有利な事は容易に想像ができ、結果的に速く泳げる事によって、世間的に騒がれている部分だ。 しかし、これは、事実の表面でしかない。単に「楽に、速く泳げる」というメリット以外の部分がある。 いや、速く泳げる事よりも、フォームを矯正する効果の方がはるかに重要で大きなメリットだ。その効果は、絶大といって過言ではない。 表面的事実である「速く泳げる」という部分だけを捉えて、「水着で速くなるのはずるい」といった系の議論をする事は、私は否定的だ。その辺りの私の見解は、日記で指摘してるのでそちらを参照してもらいたい。 そんなマイナスな方向へ議論を膨らませるよりも、プラス側に膨らませた方がずっとアスリートらしい思考方法だ。新型水着を着る/着ないは、善悪の問題ではなく、自分のアスリートとしてのポリシー(信念)的問題だ。信念がある選択であれば、どちらの選択も正しい。 「新型水着を着ると、明らかに下半身が浮く」。この事によって、フォームが自然と矯正される。 なぜなら、下半身が浮いてしまうので、今までのような泳ぎ方では、泳ぎがおかしくなってうまく泳げなくなるからだ。 私の専門種目の平泳ぎでなら、「空蹴り」はもちろんの事、なんと「空掻き」をしてしまう。下半身が浮く事で、上体が前に"つんのめって"しまうためだ。 (ただし、練習中にはあまり起きない。新型水着にまだ慣れていないレースの時、トップスピードで泳ごうとすると起きる) 新型水着を着ると、今までの泳ぎのままではうまく泳げないため、フォームを矯正せざるを得ない。この影響は、一流選手よりも、「一流になりきれていない選手」〜「二流選手」までの方がかなり大きい。 その理由は、オリンピックに出場するような一流選手は、すでに技術的に高度なものを使いこなしているが、一流に到達していない選手は、新型水着によって初めてそのテクニックを体感するためだと思われる。 そのフォーム矯正効果が、「どのようにあるか?」という細かい話は、種目や個々人によって違うはずで、私の考えている「ここがこう矯正される」という事は述べない。 ただ私の感覚では、「新型水着を着て泳ぐには、新しい道具に合った新しいテクニックが必要である」事は間違いない。過去の常識とされたテクニックが通用しなくなる。 (ブレストでは「無理して膝を閉める必要はない。特に、疲れてきた後半は多少開いた方が良いのではないか」と私は現在考えています。現在、レースでテストしていますので、断言は出来ませんが・・・私のレース結果では「膝を開い悪い」という結果も出ていません) 2009.05.10 |
■ 新型水着は誰に最も効果があるか? |
「一流になりきれていない選手」〜「二流選手」に最も効果が出る。
私の周りでは、もうかなりの数の選手が新型水着を試している。レーザーレーサーであったり、バイオラバー水着であったり。 その結果を見ると、おおよその傾向が見られる。 まず、「初心者レベル」〜「ボチボチ泳げるレベル」ではほとんど効果がない。泳いでいる本人には「浮いている感じ」があるのは間違いないようだが、それが実際のタイムとなって現れるほどではないようだ。 初 心者の場合、「新型水着によって体が浮く」といっても、それを使いこなすためのベースのテクニックすらまだ身に付いていないためと考えられる。また、「初 心者はレースのたびに、上級者ではありえないほどのタイム幅でブレる(例えば、50Mで1秒以上)」といった事実からも直感的に理解できるだろう。 逆に、元オリンピック選手といったような元々トップレベルだった選手では効果はあるが、200Mで1秒程度だ。 例えば2008年の北島康介選手は、4月の日本選手権で通常の水着でレースを行い、 ・100M平泳ぎ 59.66 (2008/04の日本記録+0.13) だ。これが2ヵ月後のジャパンオープン、4ヵ月後の北京五輪でレーザーレーサーを着た結果 ・100M平泳ぎ 58.91 (2008年の世界新記録) だ。100Mでおおよそ0.5秒、200Mでおおよそ1秒の効果が出ている。他の選手を見ても、おおよそその程度だ。 と ころが、私自身は、短水路の結果ではあるが、100Mで2秒、200Mで4秒は効果がある。長水路なら少なくとも100Mで1秒、200Mで2秒に相当す るはずだ(上記、北島君の記録は長水路。これから夏になるので長水路での考察をしていきます)。私の周りの同等レベル選手でも、ほぼ同様の結果だ。 つまり、一流より少し下辺りにいる選手たちには、絶大なタイムアップ効果が出ている。 「一流選手よりも二流選手の方が効果が大きい」という部分を考察すると、こう想像できる。 一流選手の下半身は、そのテクニックによって、元々浮いているため、水着で補助されても「そのぶん楽だ」という程度の効果しかない。 ところが、二流選手は一流選手よりも技術的に未熟であり、そのため下半身が少し落ちた位置で泳いでいたために、一流選手に大きく水を開けられていた。 ところが、新型水着の補助により一流選手と同じ位置で泳ぐ事が可能となって、「姿勢の矯正」と「楽だ」という2つの効果が出るために、より大きなタイムアップとなって効果が出てくると考えられる。 しかも、二流選手は初心者とは違い、「新型水着の浮力」を技術的に生かすだけのベースが出来上がっている。 こうなるとたしかに「ズルイ。インチキ」といったマイナスな議論をしたくなるのは仕方ない。しかし、それは表面しか見ていない議論だ。 二流選手が水着の補助を受け、姿勢がフラットになると、そのフラットな感覚を体験する事になる。人間は、体験した事ことないものを、想像したり、イメージしたり、実践するのは非常に難しい。 しかし、一度体験したものなら、容易に想像/イメージする事が可能で、イメージできた事を実践するのは"より容易い"事となる。 実 際私の場合、新型水着を着て、「フラットに浮いた泳ぎ」を体験して、「あー、今の一流選手は、こうやって泳いでいるのか」と体感した事で、その筋肉の使い 方や動きが自分で分かり、マネできるようになって、普通の水着に戻っても、どう泳げばよいのかが分かって、今までにはありえないスピードで泳ぎのテクニッ クが進化し始めた。 つまり、二流選手ほど練習中に新型水着を着て、良い泳ぎを体感してイメージを作り固める事が重要だといえる。 こちらの方が、タイムアップ効果よりも選手として非常に重要だ。 「良い泳ぎを体験できる効果」 と考えれば良いだろう。 新型水着は、パドルなどと同じもので、「フォームを矯正する道具」と捉える方が、「インチ水着」と捉えるよりずっと良い捉え方と言えるだろう。 自分の信念があって、新型水着に頼りたくないのなら、「レースの時は着ない」ようにすれば良いだろう。 また、実際にフォームが変わって速くなると、「自分とトップ選手との一番の違いは、心理面や素質面よりも、身に着けているテクニック差が非常に大きい」という事が感覚的に分かる。 例 えば、20年前に「自分には、もうこれ以上のレベルアップは無理。自分の限界」と言って競泳を辞めたにも関わらず、「20年も年を取ったあげく、練習量は 1/3以下」でも当時より速く泳げ、当時ならかなりのハイレベルタイムで泳ぐ事ができ、「オリンピックは遠い夢また夢のそのまた夢」というほどでは決して ないタイムで泳げるようになる。 逆に言えば、テクニックさえ手に入れれば凡人にもチャンスがある事が実感として分かる。 2009.05.10 |
■ レーザーレーサー系とバイオラバー系のどちらの水着を買う方が良いか? |
「耐久性/着易さ」の面からは、バイオラバー系。
私の周りの感じでは、確かにレーザーレーサーの方が速い傾向があるように思える。そういった面では、トップ選手ほどレーザーレーサーの方が良いかも知れない。 ただ、レーザーレーサーは 「苦労して着る事になり疲れる」 といった事からマスターズ選手には高価なレーザーレーサーは微妙だ。 その点、バイオラバーは 「通常のレース用水着程度の値段」 ので、マスターズ選手向きと言える(あくまでも私的見解です)。 特に「耐久性」の面は重要だと私は考える。なぜなら、「練習中にも着て、レースまでにフォームを矯正できる」からである。耐久性が低く、着るのが大変なレーザーレーサーではこうは行かない。 2009.05.10 |
■ 蹴伸び(ターン)で何秒速いか?(高速水着効果は何秒か?) | ||||||||||||||||||
ターンなどで、壁を蹴って伸びる姿勢(ストリームライン姿勢)を取った時、バイオラバーを着ているだけで0.5秒速い。
通常、「短水路/長水路の差」は、100Mで2秒、200Mで4秒と言われている。短水路は壁を蹴るターンの数が多いため、その分、有利であるからだ。
しかし、今シーズン(2009年1月〜8月まで)は上記表に示したように、ラバー系高速水着を着て短水路/長水路を泳いだ結果、その差は100Mで約3.5秒差、200Mで約7秒差であった。 ラバー系高速水着では、通常の水着とは明らかに違って、「短水路/長水路」の差が大きい。 「通常の水着」を着て泳いでも、「ラバー系高速水着」を着て泳いでも、「短水路/長水路のタイム差」は、「ターンの数の違い」から来ている事に違いはない。 「ターンの数の違い」、つまり、この差は、 「キック動作やプル動作といったフォームによる効果を排除した、ストリームライン姿勢での純粋な高速水着効果を具体的な数値で得る事が出来る」 事を意味している。 100Mで考えると、通常水着なら、長水路は短水路より2秒遅い。それが、ラバー系高速水着では3.63秒も遅い。その差は1.63秒だ。 3.63 - 2 = 1.63 長水路100Mの場合、壁を蹴ってストリームライン姿勢を取るのは、スタート1回とターン1回の計2回だ。したがって、1回のストリームライン姿勢で0.82秒速い事になる。 1.63÷2 = 0.82 上記表を見て分かるとおり、同様の計算方法で長水路200Mにおける1回のストリームライン姿勢も0.83秒速く、100Mでの計算値と一致する。 誤差を考えて、少なく見積もっても 「ラバー系高速水着を着てストリームライン姿勢を取ると、通常の水着のその時と比べて0.5秒は速い」 と言い切れる。 この結果を、思考的に少し飛躍させて、「泳ぎ方」に応用すると、 「ストリームライン姿勢を作る時間を多く作ってストローク数を減らし、1ストロークごとをしっかり泳ぐ方が、水着を生かした有利な(効率的な)泳ぎが出来る」 といえる。これは、体感的に感じた結果と一致している。 (も ちろん、短水路/長水路の差は、心理的な差、例えば「短水路ならターン休憩があるのに、長水路にはない」といったネガティブ思考の面もあるのだが、今シー ズンは100Mも200Mも短水路も長水路も、複数回泳いでもそのタイム差は同様の傾向があったため、結果には心理面の差よりも、高速水着効果差の方が大 きく反映されているといえる) 2009.09.14 |
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