プールへ行こう! (10)

〜 スイマーの「暗黙の了解」 〜

2010.05.31

  

 

■ スイマーの空気

車の免許を取ったばかりの初心者は、法律にはない

『ドライバー同士の暗黙の了解』

が分からず、右折のタイミングが合わない事が、よくある。

 

プールでも同様に、

『スイマー同士の暗黙の了解』

が把握できない初心者は、速い人が泳いでいるコースに入り難い(入っても泳ぎ難い)はずだ。

 

そこで、初心者が心の準備をしておけるように、スイマーが持つ『暗黙の了解』を、挙げておく。

ただし、『初心者が、心の準備がしやすいように挙げている』だけなので、初心者は、細かい空気を読めなくても、気にする必要はない。

 

 

■ 遅い人は気にならない

競泳選手のように、一般人からするとズバ抜けて速く泳げる人にとって、遅い人はあまり気にならない。

むしろ、『同じコースで、誰かと2人で泳がなければならない』としたら、遅い人と泳ぎたい。

 

速い人にとっては、『自分と同じくらいのスピードで泳げる人』が、最も"いっしょに泳ぎ難い人"だ。

 

なぜなら、自分と同じくらいで泳げる人では、追い越しが出来ないからだ。

どんなレベルの人であっても、自分より格段に遅い人なら、簡単に追い抜ける。

 

速い人は、遅い人を2〜3ストロークで簡単に追い抜けるので、いっしょに泳いでいても、たいして気にならない。

 

 

■ プールは右側通行

プールでは、右側通行だ。

 

速い人は、左側をドンドン追い抜いていくので、遅い人が譲る必要はない。

変に気を使われて、遅い人が左に避けると、ぶつかってしまうので、堂々と遅く泳がれる方が、遅い人の動きを予測しやすく、速い人にとっては、泳ぎやすい。

 

道で人とすれ違う時も、お互いに遠慮があると、同じ方向に譲り合ってしまうのと同じで、お互いが堂々と動いている方が、相手の動きを予測しやすく、スムーズに動ける。

 

 

 

■ 遅い人のスタートタイミング

速い人を追いかけるつもりでいると、遅い人はスタートタイミングをとりやすい。

 

壁を蹴ってスタートする時のタイミングには、やや注意が必要で、速い人は、遅い人が思っている以上に速いスピードで泳いでいて、あっという間に追いついてくる。

速い人が迫ってきたタイミングで、遅い人がスタートしてはいけない。

 

 

競泳選手の泳速は、秒速2M前後なので、速い人が5M向こうに迫ってきた2秒後には、ターンをしている。

2秒というと、遅い人が、壁を蹴ろうかと動作をしている時間より短いため、『遅い人のスタート』と『速い人のターン』がぶつかってしまう。

 

遅い人がスタートする最も良いタイミングが、速い人が出て行った直後だ。

 

そうすれば、スタートでぶつかる事もない上に、速い人が次に追いついてくるのは、50Mも後、時間にして30〜40秒後だ。

※※ 備考 ※※
このスタートタイミングは、

『休憩していた遅い人が、スタートする時』

の話。

遅い人が泳いでいて、ターンをしようとしている場合は、後ろから迫ってくる速い人を気にせずにターンをして良い。

速い人は、遅い人のターンを、後ろから見て予測しているので、堂々とターンをしてもうらう方が、スムーズに追い抜ける。
※※※※※※※※

 

 

■ 速い人のスタートタイミング

スタートのタイミングに関して、遅い人がよく勘違いするのが、速い人の真似をすれば良いと考え、『速い人と同じタイミング』を使ってスタートする事だ。

 

しかし、速い人と遅い人では、スタートタイミングが逆で、速い人は、『遅い人が壁に付く直前にスタート』する。

 

 

こうすれば、遅い人に追い付くまでの最大時間を稼げる。

 

 

■ 速い人は時計を見ている

泳いできた速い人がタッチした時(ターンをしなかった時)、その人は、休憩をしようと思っている。

 

遅い人が、速い人に向かって、

「お先にどうぞ」

なんて言う必要はない。

 

速い人のほとんどは、インターバルトレーニングの習慣があって、普段でも無意識に自然と、時計(サークルクロック)を見て、自分でタイムを計りながら泳いでいる。

 

例えば、

『50Mを10本。1分サークル』

という泳ぎ方をしていて、タッチした時が40秒だったら、60秒になるのを待って、2本目をスタートしていく。

 

「お先にどおぞ」と言われても、60秒からスタートすると決めているから、止まっているだけで、遅い人に遠慮して止まったわけではない。

速い人がタッチした時は、遠慮なく、遅い人が先にスタートして良い。

 

どうしても、速い人を先に譲りたいのなら、速い人がスタートしていくのを待って、スタートすれば良い。

 

速い人は、泳ぐスピードも、練習内容も、フレキシブルに対応して、遅い人を避けながら泳ごうとしているので、遅い人が、堂々と遅く泳いでいる方が、泳ぎやすい。

 

 

■ 謝る必要はない

狭いプールで、ちょっとくらいぶつかるのは、当たり前だ。

そのたびに謝ったり、謝られたりする方が、めんどくさい。

 

少なくとも速い人は、競泳経験があるため、自分も何度も、ぶつかったり、人を蹴っ飛ばして来ているので、小さい事は気にしていない。

 

一般人で気難しいマナーを持っている人はいると思うが、遅い人が、速い人に謝る必要はない。

プールはもっと、気楽なものだ。