プールへ行こう! (1) 〜 肌をきれいにする水泳 〜 2010.04.30 |
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■ 水泳はきれいな肌を作る! 『競泳選手は、一回の練習で2時間も水中に入っているが、誰も手がふやけない。普段、お風呂に入っても、ふやけない』
私は、 「肌がきれい、女みたい」 と言われる事が、何度かあった。
『別にモチ肌じゃねーし、単に若いからじゃね?』 とか、 『おせじでしょ?』 とか思っていたが、妹にまで言われたので、 『俺は元々、男性ホルモンが強くないみたいで、体毛が少ない。腕にも、産毛すらほとんど生えていない。みんなと同じハードな筋トレメニューをこなしても、他の選手のようにはムキムキにならない。成長が遅く、選手としては、あまり有利な体とはいえない』 といった具合に、男性ホルモンが弱いせいで、肌が男性っぽくないのかな程度に思っていて、深く考えた事はなかった。
そもそも、男の俺からすれば、他人の男の肌など気持ち悪くて、そんな所を意識して見たくない。
しかし、よくよく考えてみると、 『水泳仲間から「肌がきれい」なんて言われた事は一度もない』 という事に、何年か前に、気付いて、
『俺の周りには、競泳選手が多く、彼らもみな、見た目は俺と大差ない。だから、自分が特別、肌がきれいだとはぜんぜん感じた事がなかった。』 『競泳選手は、一回2時間も水中練習をするが、誰も手がふやけない。』
という事実を元に、仮説を立てた。
『水泳選手は、長く水に入っていても、指がふやけない』 事を、私は長年、不思議に思っていたのだが、 『水泳選手は肌がきれい』という事を元に考えると、
『長い時間、水中にいる事で、皮膚から体内に水が浸透してこないように、肌のキメが細かくなる』
のではないかと思われる。 (もちろん、科学的に分析したわけではなく、自論、勝手論)
『水中で手がふやけるのは、水分が皮膚の表面に浸透してくるから』 (紙に水滴をたらすと、その部分だけ紙がふやけるのと同じ原理)
であるので、
『水泳選手の指がふやけない』のは、 『水泳選手の皮膚は、外からの水分が浸透しにくくなっている』
のは、間違いない。
『水中生活が長いからと言って、皮膚にそんな変化が起きるのか?』 という部分に科学的検証が足りないから、私の説は、自論の域を出ないのだが、動物の環境適応能力は意外に優れているのは事実だ。
例えば、水泳選手には、少し耳の遠い人が多い。 (話す時、声がでかい程度で、健康診断にも引っかからないが) 水泳選手の耳は、水があまり入らないように進化していて、耳の中の軟骨が出っ張ってきて、普通の人より耳の穴が小さくなっているからだ。
だから、競泳選手は、水から上がって、頭を左右に一回ずつ振る程度で、耳の中に溜まっていた水が、簡単に出てしまう。 (競泳選手は、耳から水が簡単に抜けるので、耳栓をしたり、ツバを耳に入れたりしなくても、特に不便はない)
あるいは、競泳選手の指の間には、手の平から伸びている長めの皮があって、水かきみたいになっている人がたくさんいる(私もなっている)。
といったように、競泳選手は、長年の競技生活で、体が水中生活に適応して変化している事からして、水が浸透してこないように、肌のキメが細かく進化したとしても、おかしい話ではない。
この『肌がキメ細かくなる説』を何人かに話すと、 『普通の人より、油が出やすくなって、水を弾いているんじゃないか?』 という仮説を唱える人もいて、確かに、 『肌のキメが細かくなって、水が浸透しない』のか、 『肌の油分調整能力が高くなって、水を弾いて、水が浸透しない』のかは、 科学的に検証しない限り、どちらの説でも説明が付く。 (油っぽくなるとはいっても、水泳選手でギトギトしている人は中年男子選手でも見た記憶がない事から、油が出ているにしても、適度な量に保たれているはず。)
『キメが細かくなる説』にしろ、『油を補充しやすくなっている説』のいずれの説にしても(あるいは、その両方の効果)、競泳選手の肌は、水中生活に適応しようとした結果、肌がツルツルになっている可能性が高い。
実際に、競泳選手の肌を見てみると分かるが、その人が毛深いかどうかに関係なく(男性ホルモンの多い/少ないに関係なく)、肌の質自体は、若々しく見える場合が多い。 (男である俺は、他人の男の肌なんて気持ち悪くて、触らないから、"見た目"しか分からない)
■ 温泉の肌ツルツル効果とは違う 温泉で肌がツルツルになる場合、それは多くの場合、アルカリ温泉だ。 温泉に入った時、肌がヌルヌルするする、あれだ。
あれは、温泉がアルカリ性であるため、皮膚が解けて、解けた皮膚のせいでヌルヌルしているのだ。 表面の皮膚が解けて一皮剥けるから、肌がツルツルするようになるわけだ。 ただ、肌がツルツルになったといっても、皮膚の表面が少し溶けただけだから、数日もすれば、また元の状態に戻ってしまう。 ※※ 備考 ※※ ・酸性 の3種類があって、温泉にも酸性の温泉と、アルカリ性の温泉がある。 (温泉の場合、飲み水と違って、効能として作用する成分が多く入っているから、酸性かアルカリ性のどちらかに傾いている事が多い)
アルカリには、『浸潤性』という性質があって、アルカリ性の液体が皮膚に触れると、水で洗い流した後も、だんだんと皮膚の奥に広がって(浸潤して)、皮膚が犯されていくという、やっかいな性質がある。
競泳選手の場合、肌がツルツルでも、『肌の状態』は決して良くはない。 むしろ、塩素によって、皮膚の表面が荒れている事も多い。
例えば、毎日のように、塩素の強いプールに長く入っていると、肌がカサカサになって、白っぽくなる。 空気の乾燥する冬には、保湿クリームなどでメンテナンスしないと、かゆくなったりする。
それでも、肌の本質部分は、競泳選手の場合、スベスベしているのだ(語弊のある言い方だが、あえて例えれば、若々しい肌)。
※※ 備考 ※※ ただ、液体も、事故などで被ってしまうと非常に危険なため、小学校などでは、まだ使われているかもしれないが、昔は、『体積が小さく、水分がない分だけ軽くて、輸送コストが安い、さらし粉やカルキと呼ばれていた次亜塩素酸カルシウムという粉末』が使われていたが、固体だと水に解け難いため、『解け残った、直径5cm程度の白い玉』がプールの底に、よく沈んでいた。 最近は、塩素臭のないオゾン殺菌や、『軍事行動の時に、水を現場で簡単に殺菌して飲めるようにするためにアメリカで開発されたMIOX』といった、非塩素系の殺菌方法を採用しているプールも増えてきている。 ただ、何十年も使われ続けた実績があり、目立って大きな副作用はない塩素系殺菌の長期的な安全性は十分に高く、新しい殺菌方法の長期的な安全性は未知の部分もなきにしもあらずという面があって、一長一短と言える。
■ 運動効果 もちろん、単に水に浸かっているだけでは、お風呂に入っているのと差がなく、効果はない、に等しい。
大切なのは、 『水中で運動をする』 という事のはずだ。
※※ 備考 ※※
例えば、暑さで汗をかくだけで良いなら、 『暑い国の人たち、あるいは夏場には、じっとしているだけで、暑さによって老廃物が排出され、美しく健康でいられる』 事になり、逆に 『寒い東北地方の人やロシア人は、一般的に肌がきれいだ』 という事実との整合性が取れない。
(寒い地域の人たちの皮膚も、遺伝の影響が大きいだろうが、その遺伝子は、寒い環境に適応した結果であるはずだ。また、同じ寒い地域の人たちだって、それまでの生き方が肌に反映されて、年齢とともに差が広がっているはずだ)
風呂に長く浸かるのが好きなのなら、精神的リラックスに繋がり、リラックス効果から美容と健康に良い影響も期待できると言えるだろうが、暑さなどをがまんしてやっているのなら、そのストレスの影響の方が強く出てくるはずだ。
そもそも、いかがわしい通信販売に共通する『〜〜するだけで』といったような戦術は、『簡単に出来る』という安易なメリットよりも、『やる事が簡単過ぎて、すぐに飽きしまい、長続きさせられない』というデメリットの方が大きい。 『〜〜するだけで』という戦術は、『楽をして、良い結果が手に入る』という発想が、万人に受け入れられやすいから、評判になるというだけの事で、多くの場合、かなり疑わしい理屈だ。
また、 『運動をすると、活性酸素が多く発生し、運動をする事は害である』 というおかしな思想を、さも科学的根拠があるかのように、唱える人が、稀にいる。
この人たちは、おそらく、 『ハエを強制的に飛ばして運動をさせ続けると、運動をしなかったハエよりも寿命が短くなった』 という実験結果を、幼稚な思考で解釈したものと思われる。 (おそらく、この研究論文を書いた人は、人間の寿命に当てはめて考えるような考察は、していないはずだ。実験結果の部分だけを小耳に挟んだ奴らが、都合の良い解釈を付けて言っているだけのはずだ。)
私も化学者の端くれだったので、狭い研究室で、似たような実験を何年も繰り返すと、根が立派な人間であっても、視野が狭くなって全体が見えなくなり、『度を越えた運動を、強制的に行わされたストレスの影響』等が見えなくなり、『引きこもっている人間や運動をしない人間は、健康状態が良く、長生きする』なんて話は、素人ですら直感的に、非現実的だと分かる事も分からなくなり、人間の心理面といったような"総合的な視点"が失われてしまって、『運動には害があるという結論にとって、都合の良いところだけ掻い摘んだ解釈』しかできなくなってしまい、単に『運動をしたくない言い訳』を、ひねり出してしまう人間の性は、よく知っている。
私は、『活性酸素 悪害説』ですら、否定的だ。 動物の体内には元々、活性酸素を無害化する酵素が存在し、いかがわしい"抗酸化作用サプリメント"なんて飲まなくても、体内に活性酸素が多くなれば、その酵素の量も増え、活性酸素が減れば、その酵素も減るようになっている。 つまり、動物には活性酸素に対する耐性機能が元々備わっており、動物の能力は使わなければ弱くなってしまうので、そちらの悪影響の方が大きくなるはずだ。
それに、酸化物質である活性酸素には、消毒に使われるオゾンやオキシドールといった過酸化物と同等以上の殺菌作用(酸化作用。酸化力で菌を死滅させ、殺菌している)がある。 大きな体の人間には小さなダメージであっても、小さな細菌にとっては、少しの活性酸素が致命的なダメージになり、人間の体内では、活性酸素が細菌に対する抵抗力のひとつとなっている可能性も十分にある。
活性酸素の量に応じて、分解酵素の量が増減するという仕組みが、 人間の体にわざわざ備わっている事からすれば、 『人間にとって活性酸素は、害の面よりも、むしろ、利益の方が圧倒的に大きい』 と考えるほうが、合理的だ。 (『量に比例して増減する』という事は、体内の活性酸素濃度を一定量に保とうとする機能ではないかと、個人的には思う)
私のように、ハードにスポーツを行えば、寿命が縮む事は十分にあり得るが、獲物を追い掛け回したり、朝から晩まで農作業をして食料を調達していた頃の運動量以下の運動に害があるはずもない。 人間は、自分が考えている以上に、丈夫に出来ている。
運動を行うと、細胞に『破壊と再生』が起こった分、細胞のローテーションが早まる。 この『細胞の活性化』が、『見た目』的な若さを保つ事に繋がっているはずだ。
ただ、私的な感じではあるが、ジョギングなどの場合、体の水分が抜け過ぎるせいか、同じスポーツ選手でも、マラソン選手が若々しいとは言い切れないように思う。
もちろん、マラソンの場合、屋外スポーツであるため、 『日々のトレーニングによって浴びる紫外線によって、皮膚が老化しやすい』 せいなのかもしれない。
いずれにしても、水泳の場合、屋内プールが整備された今となっては、屋内で泳ぐのが一般的で、 室内プールなら、紫外線による老化の心配もなければ、皮膚表面の水分不足の心配もない。 ※※ 備考 ※※ 例えば、私の場合、水を飲まずに1時間ほど練習すると、体重は1kg程度落ちるが、これはほとんどすべて、汗によるものだ。 室内プールでは、湿度が100%という事もあって、喉の渇きを感じ難いが、陸上と同等に汗が出ているので、水分不足には注意が必要だ。 特に、通常のスポーツクラブは、水温が高く設定されていて、30度以上もある。 気温が30度なら真夏日である事を思い出せば、プールでも動いていれば、大量に汗が出ている事をイメージできるだろう。 また、汗からは水分だけでなく、ミネラル成分も出て行ってしまうため、水分不足だけでなく、ミネラル不足にも注意が必要だ。
■ どのくらいの時間が必要? このように、水泳には、
・運動自体による肌への効果
があると言えるが、何事も
『短時間。ちょろっとやった程度で。楽に。簡単』
という虫のいい話はない。 そういう人は、通販番組に騙されて大金を払って、日本経済に貢献していればよい。
『2時間水中にいても、指がふやけない』という競泳選手でも、指がふやけるようになる事がある。 それは、オフ明けの時だ。
1ケ月くらい練習を休んで、トレーニングを再開すると、1〜2週間は手がふやける。 お風呂でも、やっぱり、すぐふやける。
私の場合、日々の水中練習時間が1時間を切ってくると、多少ふやけるが、1時間を越えて水中練習を続けていると、ふやけなくなる。
この事からすると、 『一回の水中練習時間が1時間以上で、週3日以上』 が、肌に良い効果が出てくるおおよその基準になるのではないかと思う。
また、競泳選手の場合でも、引退して10年以上、水から離れて何もしないでいると、老け込んでしまう人もたくさんいる事から、 コツコツの 地道に勝る 戦術なし!
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