平泳ぎのタッチ (1)

〜 基本テクニック 〜

2008.05.01

  

 

 

図 1-1

 

ゴールタッチの瞬間、頭を突っ込め

1986年代以前に平泳ぎの選手だった中年以降の選手は、

水没禁止

のルールが体に染み付いている。

一呼吸ごとに「頭が水面下に沈んでないか」を神経質に気にしなければならなかった「水没禁止ルール」は改正され、1987年のレースからなくなった。

しかし、ルール改正以前に一定のレベルに達していた平泳ぎの選手には、体に染み付いた水没禁止の感覚が抜けきれず、2008年現在の新しいフォームへの対応も難しくしている。

古い時代を経験している選手は、タッチに関しても同様に、体に染み付いた感覚で、漠然とタッチに入り、僅差の勝負で負けている場合が多々ある。

ゴールタッチの瞬間に壁(タッチ板)を見てタッチするのは損だ。

1987年以後のルールでは、潜水泳法でないのなら、タッチの瞬間に頭が水没しても別にかまわないのだ。

「高い所にある物に、手が届きそうで届かない時、下を向いて手を伸ばす」

のと同様に、「頭を上げて、壁を見ながら手を伸ばす」より、

「頭を突っ込んで手を伸ばした方が、遠くまで手が伸びる」事は明白な事実だ。

0.1秒以内の勝敗なら、「頭を突っ込んでゴールタッチするか」「前を見ながらゴールタッチするか」の差は、十分逆転可能な差だ。

タッチ板のなかった手動計測時代の選手には

「ゴールタッチの瞬間が計測員に見えずらくなるように、壁に勢いよく水を飛ばして、計測員の目をごまかせ」

というタッチテクニックがあった事も、前を見てタッチする中年選手が多い理由のひとつでもある。

しかし、現代はタッチ板による自動計測であり、かつ、水没禁止ルールもない。

より速くタッチするには、可能な限り手の指を遠くに伸ばしてタッチする事以外あり得ない。

しがたって、ゴールタッチ動作では最大限遠くに手を伸ばせるように、アゴを引いて思いっきり手を伸ばす方が断然有利である。

自分のフォームが、水没禁止時代のように、前を向いて泳ぐフォームであってもゴールタッチの時だけは頭を突っ込む事を忘れてはならない。

次項では、ベストなタッチになるための「タッチの入り方」の考察をする。