夢に向かう君たちへ


指先にかすかに感じて掴めそうだった夢。
多くの場合、もう少しの所で指の先からすり抜けて、掴みかけた夢から遠ざかり始める。

水泳以外の将来を見据えて勉強をしていても、うっかり22歳を過ぎてしまえば、日本社会に組み込まれる事なく、社会から弾き 出されて苦しい思いをする。

それでも、夢を追いなさい。

 

君のその夢は、将来、「当初思い描いていた夢とは違う形で」、必ず実現する。

「金メダル」みたいな誰もがイメージする夢とはだいぶ違うけど、一人一人が違った形で実現する。

君が心の底で求めていたものが満たされる瞬間が、必ず来る。

 

若い君が必死に輝こうとしたその強い思いは、引退して深くくすんでしまう時期があると思う。

でもね、自分では気づけないと思うけど、その輝いたステキな経験は、隠して隠せるものじゃないんだ。

引退した後でないと見えない風景があって、「価値がない」と思っていた事が、君の人生を支えてくれるようになる。

君が必死になって注いだ情熱は、結果の良し悪しに関係なく、君の人生を強力に支える素晴らしい力になる。

 

若い君たちが実感として理解する事は難しいんだけど、人生は一度しかない。

人生の時間は、君が思っているよりもはるかに短くて、いつでもやり直せるというのは、嘘なんだ。

競技者として夢と向き合える時間には限りがある。その貴重な時間を無駄にしちゃいけない。

時間は逆戻りしないから、その時にしかできない事は、可能な限り向き合う。

 

明日やれる事は、明日やればいい。

でも、今、その時にしかできない事がある。

それは、今、やっておかなくちゃいけない。

逃げ出す事になるとしても、立ち向かわなくちゃいけない。

 

負けてもいい、逃げ出してもいい、後ろ向きでいいから、大切な自分の人生と向き合いなさい。

2017/01/01