夢に向かう君たちへ



勉強はね、逃げ道なんだよ。

「将来使いもしない公式を覚えて何になるんだ」

って思うでしょ。僕もそう思った。

でも勉強はね、水泳に打ち込む君にとって大切な「逃げ道」なんだよ。

 

君たちはいずれ大人になって社会に出る。

正直に言うね、日本の社会はね、君が思っているほど寛容じゃない。

普通から外れた者、挑戦して敗れた者、一度でもレールから外れた者は、日本社会のレールには二度と乗せてもらえなくなる。

水泳界には水泳の常識があるように、日本社会には日本社会の常識がある。

 

水泳の世界では、失敗を恐れず挑戦するのは当たり前でしょ。

トップを目指してやってるのに、チャレンジしないなんてありえないでしょ。

でもね、水泳界のこの当たり前は、日本社会の非常識なんだ。

社会に出たら、挑戦するふりをするだけで、本当にやっちゃいけない。

成功した時だけ、社会はそのチャレンジを受け入れてくれるけど、敗者が再チャレンジの機会に出会える事はとても少ない。

 

残念な現実なんだけど、将来、君たちの多くはこのギャップに苦しむことになる。

水泳が自分のすべてだった頃には気づかないんだけど、水泳の成績と、引退後の人生は連動しない。

順調な選手生活を送って残してきた優秀な成績と、社会的地位には何の関連性もない。

むしろ、優秀な選手ほど、社会とのギャップに苦しむ事になる。

その苦しみを吸収し、引退後の人生を豊かにしてくれるのが、勉強なんだ。

 

忘れちゃいけない。引退後の人生の方がはるかに長く、そして大切。

水泳を言い訳にして勉強から逃げちゃいけない。

水泳に立ち向かうのと同じように、勉強にも立ち向え。

 

2017/01/01