夢に向かう君たちへ


僕はね、自分がオリンピックに行けると思ってたんだ。
中学時代、全国でトップ争いをしてたし、九州では圧倒的に強かったからね。

 

そういう「揺るぎない自信」って、すごく大切。

「自分を信じて疑わない」

この突破力は強烈で、夢にグングン近づいていける。

 

自分の力を信じきって、徹底的に前に進む。
僕の人生の中で一番輝いていて、迷いのない、素晴らしい時間だったよ。

その「自信」、君の人生に強烈な輝きを作るから、誰になんと非難されようとも、大切にしてください。

坂を登ってるんだから、生意気でいいんだよ。

 

でもね、僕は高校生になったとたん、その快進撃に急ブレーキがかかったんだ。

当時の僕は、混乱した。

混乱した僕は、アクセルをもっともっと強く踏み込んで、自分の力のすべてを水泳に注ぎ込んだ。
勉強する時間も、休みの日も、テーパー期も、すべて泳ぎ込みに使ったんだ。

どぉ、かっこいいでしょ。

 

でもね、本当は違うんだ。
怖かったんだ。

強い選手から弱い選手へと落ちぶれていく自分が怖くて、練習に逃げたんだ。

「休む事も練習の内」なのに、「休む事はとても重要な戦略」なのに、休む勇気を持てなかったんだ。

 

練習に逃げ込んでいれば、頑張っている自分に安心して、辛い現状から目を逸らすことができるからね。

結局、僕は苦しくなって、ぶつけようのない何かに腹が立って腹が立って、水泳が大嫌いになってやめちゃった。

 

年を取った今は知っている。
あの時の僕には、「逃げ道」がなかったんだ。

逃げ道さえあれば、苦しくても水泳を続けられたし、体と心を休める時間を持って水泳に取り組んでさえいれば、もっともっと夢 に近づけたんだんだ。

2017/01/01